さぐりがき

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可憐なエルフが見たかった。『ロードス島戦記 ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー』レビュー

今回はロードス島戦記をレビュー。ジャンルは2Dメトロイドヴァニアで販売元はPLAYISM。プレイ時間はおそらく10時間くらい。ロードス島戦記といえばエルフの耳が長いイメージを世に大きく広めた作品。てっきり水野良先生の小説が原作だと思ってましたが、元々TRPGのリプレイ連載が発祥とは調べるまで知りませんでした。

しかし、筆者自身小説は未読TRPG未プレイ。ただアニメに出てくるダークエルフがエロいことしか知りません。それもアニメを全編見た訳じゃなくてツイッターに時々貼られる画像くらいしか見たことないという。我ながら歪な知識の持ち主というか、エロだけしっかり覚えてるのは冷静に考えるとちょっと気持ち悪いですね。まあそれだけ印象に残ってると理解してもらえれば。

というわけでTRPG・小説・アニメのどれも知らない筆者が初めて触れたロードス島とは一体どのようなものだったのか。前置きが長くなりましたがレビューしていきましょう。

あらすじ

ハイエルフであるディードリットは気付けば見知らぬ場所にいた。彼女はただ、歩み続ける。

エルフが見たい

本作はオーソドックスなメトロイドヴァニア。武器の付け替えやレベルアップなど成長要素があるので内容としては月下の夜想曲寄りだ。

本編について語る前にもう一度あらすじの画像を見てほしい。華奢だが芯の強そうなエルフがこちらを見据えている。このイラストを書いた左氏といえばゲームでもよくキャラクターデザインを担当しており、過去にアトリエ黄昏シリーズや討鬼伝を楽しんだ筆者としても馴染み深い絵柄だ。ソシャゲも含めていいならFGOでも描いてますね。

しかしこの絵はあくまでパッケージに採用されるキーアート。実際の画面がこちら。 なんか君パッケージと違くない?ハッキリ言ってショボい。

実は筆者は本作の紹介記事やPVを見て実際のゲーム画面がキーアートと大きく異なることは知っていた。つまりショボいのを承知の上で買ったので怒りも落胆もなかったが、だからといってショボいという感想が帳消しになるわけではない。知っていようがいまいがショボいもんはショボいのだ。なんだかんだ動いてるところを見れば綺麗なんでしょと疑ってるそこのアナタ、確かに髪やマントが翻るのは見所あるものの正直そこまででもないというか、1番なめらかに動いて感心したのが道具屋の爺さんが品物を見せる動きだった時点でなんとなく察してもらいたい。まぁいくらグラがショボかろうと遊べば次第に慣れるものだし実際すぐ慣れたので、この点に関しては問題視していない。

しかし会話ウィンドウに顔グラすら表示されずボイスすら無いのは流石に閉口した。顔グラとボイスが無いことの何が悪いかって視覚と聴覚から入ってくる情報が薄すぎてキャラクター性がまるで掴めないのだ。どうやら本作のシナリオは小説版と地続きらしく、原作未読の筆者が見ても意味不明なのはこちらの事情なのでしょうがないと割り切れる。しかし演出自体が貧弱なのはそれとは別問題だし率直に期待はずれだ。メトロイドヴァニアの始祖である月下の夜想曲ですら耽美系な絵柄と声優の熱演が楽しめたことを踏まえれば退化してるといっていいかもしれない。そもそも台詞自体が凄く少ないのも薄さに拍車を掛けている。

何が悲しいってロードス島=エルフ』くらいの認識でいた筆者にとって美人なエルフや巨乳のダークエルフを堪能できないのが一番悲しい。だって真っ先に期待するのはそこじゃん!?一番求められる部分に応えようとしないでどうすんの。これじゃただIP借りてきただけのファミコン時代のキャラゲーと大差ないし、現代のゲームならもっとIPの魅力に寄り添った作りにしてほしい。こんな表情すら分からないキャラしか見れないんじゃ魅力も半減、ロードス島をゲーム化するからにはもっとエルフの魅力を感じられる作りにしてほしかった。

実はこの記事書く際手始めにあらすじ書こうと思ったら主人公のディードリットの名前すら忘れてたんですよ。サブタイトルにも付いてるのにそれが名前だと全然覚えてなかった。これっていかに演出が薄かったかの証だと思う。

戦闘

戦闘はオーソドックスな2Dスタイル。装備する武器によって攻撃速度が違ったり弓や魔法で戦ったり色々だ。しかし真上斜め上真横には武器を振れるものの斜め下に攻撃できないのが歯痒い。高低差のある地形も多く敵が低い位置にいると攻撃が届かないことが多いのだ。弓や魔法を使えば届くとはいえそれくらいサクッと近接で倒させてほしい。

UIも作りが不可解だ。画面上部左に存在するゲージは主人公のHPとMPだ。じゃあ右側の何もないゲージはなんなの?と疑問に思うだろうが、実はこれボス敵の体力ゲージなのだ。つまりボス戦以外では使わない。これ初めて見た時はめちゃくちゃ混乱した。デカくて存在感あるのに何も変化がないから訳分からなくて。ボス戦になってようやく意味が分かったという。普段使わないボス敵の体力ゲージを常に表示する意味無いよね。

しかもこれ肝心のボス戦になると画面右下にもボスの体力ゲージが出現する。つまり画面上と下で同じボスの体力ゲージが2つ出てくるのだ。こんなの見たことない!いや分かるよ、雑魚の体力表示は右下なのでそれをそのまま表示したんだろうってことくらい。非表示にするのだって手間かかりますしそのままにしたんでしょう。でもそういった事情は分かるけどひとつでいいじゃん。

まぁボス戦ではゲージが2つあろうと邪魔にならないので構わないものの、探索時には支障をきたす。画面左のHPMPゲージですらもっと小さく出来たろうに、足場を乗り継いで上へ上へと登っていくマップでは気付けば無意識に目を細めて「見辛いなぁ〜」と感じたし、属性を表す中央の丸に小型の敵がすっぽり隠れてダメージを食らうこともあった。ゲージにファンタジーっぽい修飾施して着飾るのは構わないんだけど、それより邪魔にならないUIを作るところから目指して欲しかった。

話は変わって、本作最大の特徴として火と風の属性を使い分けるシステムがある。風属性なら空中で一定時間ホバリングできるのでトゲを踏まずに済むし、火なら溶岩に落ちてもヘッチャラだ。敵によって有効な属性が異なるので都度切り替えながら戦っていく。そしてこのシステムは戦闘にこそ真価を発揮する。敵が火球を撃ってきたら火属性になればノーダメージでMPまで回復する。そう、同属性の攻撃は無効化吸収できるのだ。

しかし、このシステム自体が面白いかと問われれば肯定しづらい。なぜなら単純な旗上げゲームなんですよ。「赤上げて白上げて、白上げないで赤下げない。」で有名なやつ。敵の攻撃に属性を合わせて無効化するだけの戦闘が一環して続くので発展性が無いというか、そこ止まり。ワンボタンで瞬時に切り替えられるのは便利だが、さすがに単純すぎやしないか。良く言えばシンプル、悪く言えば底が浅い。

確かにボス敵を倒した達成感はあります。あるにはあるんですが、だからといってこの二属性を切り替えるシステム自体はつまらないので遊んでてどこか腑に落ちない。

例えば二体目のボス戦では早くも二体を同時に相手するんですが、それぞれ竜巻と火柱を使用してこちらを追い詰めてくる訳です。それを世話しない属性切り替えでかいくぐりながら戦うんですけど、戦ってるうちに早くも思うんですよ。「これ本当に面白いか?」と。「もしかしてこの戦闘がこれからずっと続くの?」と。仕組みが単純すぎて冷めやすいんですよ。慣れないうちは今どの属性なのか混乱しやすいのも熱中しにくい要因だと思う。

今旗上げゲームに例えましたが、これは本当ーーーーに申し訳ないけどそう思う。何が申し訳ないってこういう純化して物事を語るって極めて失礼じゃないですか。そこに秘められた数々の要素を無視して十把一絡げに語るのは雑だし、自分の理解力の無さを棚に上げるのは馬鹿そのものだし。FPSを銃撃つだけじゃんとか、サッカーをただの球蹴りじゃんって言ったら普通に馬鹿だと思われますよね、それと一緒。

しかしそうは思っていても、この属性切り替えのシステムに至っては旗上げゲームとしか思えない訳です。おそらくボス戦で属性切り替えをポチポチ頻繁に押すせいでどこか移動に専念できず煩わしさを覚えるのが印象良くない要因ですね。そもそも同属性なら無効化吸収できてしまうのは流石に強すぎというか、0か100かのバランスは大味すぎる。せめて同属性でもダメージ半減くらいの効果に留めてボスの攻撃もそれに見合った感じだったらだいぶ印象も違ったと思います。勝手な想像ですが。

この画像みたいに「さあ属性を切り替えて進んで下さいね」と言わんばかりの仕掛けって何も面白くないと思うんですよ。言わんばかりというか、むしろ直接書いてあるレベルのギミックなので何も悩むことがない。だってただ切り替えるだけだし。こんな面倒なことやらせるくらいなら無いほうがマシにすら思える。

なんというか今回このシステムに対して旗上げゲームを連想してしまった時点で俺の負けな気がします。こういう風に言葉を当て嵌めて陳腐さを自覚しちゃうとどうしたって色褪せるじゃないですか体験が。まあそう感じてしまった以上自分ではどうしようもない話ですけど。旗上げゲームだって本気でやれば面白いでしょうし、この例えが適切かどうかも分かりませんが。

実はこの属性にはレベルが存在し、被弾せずMAXまで上げたうえで敵を攻撃するとポポポポポッとキューブが大量に出現して体力を回復してくれる。この仕組み自体はなかなかユニークだし、中盤までなら一切回復アイテムを使わずともこれ一本でやっていけるほど頼りになるシステムだ。

しかし、このキューブがポポポポポと出るのが厄介。攻撃した箇所から出現するので敵のモーションが見づらいのだ。これは特に人型のボスで顕著。隙ができたと思ってグサグサ切ってるとマジで見にくい。本来回復するのはメリットのはずがキューブが沢山出現するせいで喜びづらくなってしまうとは。このキューブ自体はドットで描かれてるのに立体的に見えて面白いんですけど、プレイヤーの操作を邪魔するようじゃやっぱりダメですよ。

他にも二刀流はできないし、ガードはできないし、防具もないので被ダメが減って如実に強くなったと実感できることもない。ここらへんは月下にあった要素がゴッソリ抜け落ちてる印象で、単純な比較はできないものの物足りなさを覚えました。その割にセーブ地点とファストトラベルが別という面倒な部分はしっかり受け継いでしまったのも煩わしい。ブラッドステインドもそうでしたけど安全地帯とワープを一緒にするのってそんなに嫌かな?アイテムと魔法が同枠でスクロールが面倒なのもなんとかしてほしかったし、敵の属性耐性がサイコロで表されるのも取ってつけたTRPG要素めいてて無いほうがマシ。なぜ月下と比較するのかって移動時の残像が月下そのままだからです。これ自体はカッコイイんだけどね。

それでも最後まで遊んだのさ

とまあ、これまで重箱の隅をつつくような愚痴を語ってきた訳ですが。

なんと、それでも、エンディングまで到達しました!!これって凄いぜ!

なんだかつまんねー戦闘だなと思いつつも最後までクリアしてしまった。つまらなかったら途中で辞めてもいいはずなのに。なんだかなーと思いながら最後までクリアしたの凄くない!?いや嫌味じゃなくて本気で。

なぜ最後までクリアできたかって、おそらくメトロイドヴァニアの最低限の要素は揃っているからでしょう。ワンフロアが割と狭めでサクサク探索できるテンポ感は良かったし、セーブポイントに触れただけでオートセーブできるのもありがたかった。弓を使った謎解きや敵のレアドロップを狙ったり探索に華を添える要素も忘れてない。隠し部屋が少ないのは少々物足りないものの、とりあえずマップ踏破率100%にはしときました。

属性切り替えのシステム自体はつまらないと言いましたが、道中気を抜いてると普通にゲームオーバーになりましたし、かと思えばラスボスはアイテムゴリ押しで倒せたりと難易度自体はほどほどです。おそらくアクション得意な人なら一日でクリアできるんじゃないかな。個人的には属性切り替えがつまらなかったので一日にボス2体倒すのがやっとでしたが。

なんだかんだ肝となる部分は外してない。なので最後まで遊べました。これだけでもう及第点以上でしょう。欲を言えばエンディングで見られる景色が解放感あるので出来ればこっちをメインに探索したかったな。タイトルに迷宮ってついてるし仕方ないか。

まとめ

凡作。グラフィックは目を見張るほどではないし、遊びの中核に据えた属性切り替えはあまりに単純でUIも邪魔。プレイ時間が短いのは構わないが、本家の月下と比較して様々な要素が少ないためどうしても痩せた印象を受ける。だいぶ昔に発売された本家にすら劣るのだからドット絵を使った古き良きレトロゲームと褒め称える気にはどうしてもなれない。

しかし最後までクリアした事実を無視はできないだろう。簡素な演出が逆に功を奏したのかテンポ良くサクサク遊べる。気付けばエンディングまでしっかり遊んでた。良くも悪くも無難といったところか。

ただロードス島戦記という作品の魅力が何一つ伝わらなかったのは事実。俺はブロンドの華奢なエルフが見たかったし巨乳のダークエルフが見たかったんだよ!おそらく可愛いエルフが見れたら無条件で良作になっていたかもしれないだけにそれだけが無念だ。

以上、読んで頂きありがとうございました。