さぐりがき

据置ゲーの情熱を取り戻したい男のブログ

俺の細胞が疼き出す。『Dead Cells』レビュー

f:id:sinodakei:20211106145355j:plain 昔は抵抗感のあった2Dゲーやローグライクも触ってみると面白いもんでちょいちょい触りたくなりますね。

ということで今回は『デッドセルズ』をレビュー。

手触り一級品

f:id:sinodakei:20211106152026j:plain f:id:sinodakei:20211106145407j:plain 本作はローグライクメトロイドヴァニア悪魔合体させたローグヴァニアと呼ばれるジャンルだ。挑むたび構造が変化する横スクロールマップで敵をいなして踏破を目指す。

本作を初めて触った時まず驚いたのが手触りの良さ。凄えヌルヌル動いて凄え手に馴染む!!!初対面のはずなのに『もしかして前世でお会いしたことありますよね!』ってヤバい勧誘みたいな言葉が思わず口をついて出るほどしっくりくる。剣はシュパシュパ華麗に振れるし、最初から使える二段ジャンプは一段目と二段目の距離が等しく均一なリズムなのでポンポン気持ち良く跳ねられる。加えて崖掴まりの補正が強いので足場を飛び移る際ギリギリ届かずに落ちるストレスからも解放されている。ぶっちゃけこのテンポの良さは音ゲーかと思ったくらいだ。いやマジな話。

ちなみに本作のシナリオはゲームを探索して節々から伺い知れる程度で明確には語られない。主人公の名前も分からないくらいなので筆者は彼のことを適当にレッドニンジャって呼んでました。 f:id:sinodakei:20211106150203j:plain f:id:sinodakei:20211106150241j:plain 最初のマップこそサクサク敵を倒せるので「初見でもそこそこ進めるんじゃね?」と体よく勘違いさせてくれるが、しかしそこはローグライクの宿命か2つ目のマップから周囲の敵にダメージ無効化バリアを張り続けるカカシ瞬間移動してくる剣士など雑に強い敵がわんさか出てくる。ハッキリ言って俺のめちゃくちゃ嫌いなタイプの敵でめっちゃウザい。ローグライクって主人公が死なないと成立しないジャンルとはいえ序盤からコレはさすがにやりすぎじゃない?ヌルヌル動くドット絵も綺麗とはいえ見慣れるまでは敵がどこに行ったか見づらく割とよく死ぬので、操作性の良さに舞い上がっていたオープニングから一転過酷な現実を突きつけられ自分がいかに浅はかだったか思い知らされる。ここらへんちょっとダニング=クルーガー効果ぽいよね。

こうしてマップを進むたび出てくる新たな敵に殺されつつ、少しずつ最奥を目指すのだ。 f:id:sinodakei:20211106235321j:plain f:id:sinodakei:20211106235319j:plain f:id:sinodakei:20211106235739j:plain しかし雑魚の動きが嫌らしいといっても実際にはそこまででもない。本作の雑魚敵はどいつもこいつも初見殺しめいて理不尽味が強く嫌な第一印象を抱きがちだが、それは裏返せば知ってさえいればある程度対処は可能ということ。広範囲まで届く電撃ムチや弓など遠距離武器が豊富に揃うので適度な間合いを計って各個撃破を意識すれば安定度は増していく。特筆すべきは自動で遠距離攻撃しつつヘイトも買ってくれるタレットがめちゃくちゃ強く、ほぼコレに頼りっぱなしと言っていい程だった。

本作の武器やスキルは近距離系の暴虐、遠距離系の戦術、盾などの生存の3色に大別され、マップに散らばるアイテムで能力の底上げが可能。一色染めをすれば無駄のないパワーアップができるし、加えて装備には元々の性能の他に多彩なランダムスキルが付いている。周囲に油をばら撒く効果や炎上させる効果を重ね合わせて強固なシナジーを生み出せるのだ。強いと強いを掛け合わせてもっと強くなる小学生みたいなかけ算の図式だが、ちょいと構成に気を配るだけで自分の強みを押し付ける戦いが出来るってのは理想的だ。

筆者は最初移動速度ダウンする凍結系を好んで使ってたんですが、案の定ラスボスではそれだけだと苦戦したので基本に立ち返ってでガード堅める作戦に切り替えたら思いのほか上手くいきました。こういう自分の作戦やビルドがカチッとハマる瞬間は嬉しいね。 f:id:sinodakei:20211107010534j:plain f:id:sinodakei:20211107010532j:plain ひとつマップを探索するたび恒久パワーアップに必要なセルを渡せるのでロストの徒労感も最小限だし、難易度ノーマルなら使った回復薬の補充も毎回可能。マップの至るところにショートカットが置かれているのも親切だし、ルーンを取得すればツタを生やしたり壁登りで新たな探索が可能になるのも新鮮味があって良い。自分の腕前と相談してどのマップに進むかルートを決めるのも挑戦しがいがある。個人的に嬉しかったポイントがあって地味に壁を使った三角飛びできるのめっちゃ偉いと思いました。

まぁ全体的に見れば探索要素そのものはオマケの範疇だが背景にアルカードっぽい肖像画が置かれていたりと遊び心ある小ネタがちらほら仕込まれてるのも面白い。やっててよかった月下の夜想曲

2周したけども

f:id:sinodakei:20211107010644j:plain えー、とりあえず現在ノーマルとハード計2周しました。現在その上の難易度ベリーハードちょろっと触りましたがさすがに火力高くて勝てる気しねぇぞ!というわけでここまでの所感を語りますか。

面白い!面白いけど武器スキルのアンロックはもっと楽でもよかったんじゃない?

という感想です。アンロックがめんどい!てゆーか稼ぎがめんどい!一周目はまだいいんですよ。おっかなびっくり被弾を避けて慎重に進む緊迫感に呑まれてそんなこと考える余裕も無いですし。分かりやすいラスボスという目標があってクリアに躍起になってますしね。慎重になりすぎてスキルのクールタイム回復のためにぼっ立ちしたりタレット任せだったのは少々テンポ悪かったですけど、それは自分の戦い方の話なので。

で、晴れてめでたくノーマルをクリアして。2周目だしそろそろ色んな武器試そうかと手持ちを見渡すと意外と選択肢が少ないと気付く。それもそのはず回復薬所持数アップなど汎用性の高いスキルを最優先で解放するので武器のアンロックはどうしても後手後手になりがちなんですよね。そこから選択肢を増やしていくのがめんどいという話です。 f:id:sinodakei:20211107002946j:plain さきほどスキルのシナジーに関してサラッと書きましたが武器のシナジーに関しては持ってなくて殆ど分からないので色々試したいんですよね〜。雑魚敵を倒してもセルが確定ドロップではなくランダムドロップする仕様はしっかりボスを倒してほしい設計の表れかもしれませんが、雑魚を倒す旨味が薄いのはイマイチです。一周目クリアした時点で全開放とまではいかずとも設計図全入手できるくらいの緩い調整でよかったのでは。カスタムゲームで出現装備を自在に変更可能で遊びやすいだけに余計にそう思います。上の難易度を狙おうにもレア武器出現率を上げなければならず大量のセルが必要になるのがめんどいっす。

正直初期から使える電撃ムチだけでもめちゃくちゃ強いし、槍や刀も隙の少ないオールラウンダーでこれしか使わなくても大丈夫な気はするんですが、やはりそこは色々試したいのが人情というもの。毎日ステーキばっか食ってたら飽きるんさ。難易度上げれば落ちるセルも増えるので気長に集めてねって言われてるのは分かりますが、武器を選ぶ楽しみが継続性の上に成り立ってるのがネック。1人用ゲームなんだしもっとサクッといろんな武器試せても良かったでしょう。

加えて何度も遊んでるとマップの広さが地味にダレる。強化用アイテム探して駆け回ったら1周どうしたって1時間ほどかかりますし。もう少しコンパクトで密な感じでもよかったんじゃないかな。難易度上げると回復薬が減るのも難易度の上げ方としてありがちな手法ですが個人的に下方修正じみて窮屈なので苦手です。

まあ初心に返って死ぬこと前提で回復薬の残数気にせずガブ飲みして刀で斬って油撒いてボムでドッカンドッカン引火させると難易度ベリハでもめっちゃ楽しいんですけどね。操作性の軽快さは群を抜いて気持ちよくめっちゃ楽しいだけに細かい部分合わなかったのが心残りかな。

まとめ

f:id:sinodakei:20211107002409j:plain 操作性は間違いなく一級品。比喩でなく手に吸い付くようで思うがままに操れる。初見でなんじゃこりゃと思った雑魚でもこの操作性の良さのおかげで慣れが早く、組み合わせたスキルのおかげで大立ち回りを演じられる。ボス相手に何度も負けてイラついてもこれだけ操作性が良いのでゲームが悪いと責任転嫁させてくれないのは一周回って笑ってしまうほどだ。

しかし別の側面からスポットライトを当てると本作の弱みも見えてくる。多彩な武器スキルがあるのに開放に時間がかかるのが焦ったく、同じ武器を使い続けているとモチベを維持しづらいのが難点。操作性の良さに虜になって気付けばほとんど集めてましたと言えるのがひとつの理想だが、そうなる前にモチベが一段落して落ち着いた筆者は稼ぎプレイの意欲も湧かなかった。ここら辺が潮時か。

とはいえ動かすのが楽しいという原始的な魅力を久しぶりに堪能できただけでも満足だし、全体として面白かったことは揺るがない。あわよくばという欲張りな気持ちに後ろ髪を引かれつつ、とりあえず今回はこの辺で。

以上、読んで頂きありがとうございました。