さぐりがき

据置ゲーの情熱を取り戻したい男のブログ

君はもうザックスになったかい?『CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- REUNION』レビュー

PS5買ったぞ!

いやーようやく買いましたよPS5。去年の12月にディスクドライブ着脱式のやつを。去年の春先から普通に売ってたのに新型出るのズルズル待ってたらこんな遅くに買う羽目になりました。しかも値上げ!もうすでにPS5proの噂もありますが流石にそこまで待ってらんねー!というわけでこれからぼちぼち遊んでいきます。

それでは今回はクライシスコア FF7 リユニオン』をレビュー。本作は2007年にPSPで発売されたタイトルのリマスターで販売スクエニ、ジャンルはARPG。オリジナル版は未プレイ。難易度ノーマルでクリア時間は22時間49分。

PS5買って最初のレビューがリマスターでいいのか?とか去年ウマ娘しか書いてなくね?ってのは言いっこなし。3日後に迫ったFF7リバースに向けて遊びました!よしなに。

あらすじ

時はFF7本編から遡ること7年前──。

「いらっしゃいませえぇぇ!!」

勢いよく列車の上を駆けながら叫ぶ男の名はザックス。

これはのちに世界を救う男を、救う男の物語。

ゲーム概要

本作ではFF7本編で脇役だったザックスを主人公とした物語が描かれます。正直FF7本編のザックスなんてマジで覚えてないレベル……というかFF7本編そのものが複雑なので忘れるどころか最初から理解してないと言い切れるほど筆者のFF7知識はあやふやですが、本作はFF7の前日譚なので忘れていてもダイジョーブ。

あのニブルヘイム事件に関しても詳細が語られます。この本棚に囲まれて懊悩するセフィロスFF7本編でも印象的なシーンだったんで今でも覚えてますね。セフィロスがなぜあんな凶行に走ったかが端的にまとめられてるので「へぇ〜なるほどなー。」とFF7リバースのための予習(復習?)としてバッチリ。

それにしてもこういう風にオリジナル版と同じカメラワークでブラッシュアップした場面を見ると「あっ、なんか見たことある!」って記憶を刺激される気持ちよさがあっていいっすね。記憶を呼び起こされる感じがちょっとクラウドっぽくない?なんて思いました。 序盤からウータイとの戦争というハードな展開が待ち受けてるんですけど、そこで出てくる敵兵はやたらおマヌケ。本作はザックスが明るい性格なこともあってこうしたコミカルな場面が多いんだけど、のちのち来るであろうシリアスな展開との落差でプレイヤーの心情を揺さぶるつもりだなってのは遊んでてすぐピンと来る訳です。個人的にこういう分かりやすい演出は期待を煽られてるようでなんだか嬉しくなるし、「おっ、その誘い乗ってやるよ!」って遊んでて1人ニヤニヤしてました。

他にも神羅から行方不明者が出た際にはそいつの実家に立ち寄って両親に行方を聞いてみようとかファンタジー作品にしては妙に現実的な行動したり、ザックスの神羅の会社員としての愚痴が垣間見れたり、剣持ってる人間とスーツ姿の人間が同じ空間にいるのも見慣れて普通に思えてくるしFF7でしか味わえない独特の世界観に浸れるのが大きな魅力でしょう。 もちろんFF7といえば代名詞であるミニゲームも健在。FFXブリッツボールFFXVの釣りほど作り込まれてはおらずホントのホントにささやかなミニなんですけど10種類以上とバラエティ豊か。その多くがメインストーリー中に遊ぶことになるので飽きさせません。FF7ってエアリス死亡のイメージが強くてなんかすっかりシリアスなイメージが定着してますが、砲弾斬りとかスクワットとか隠そうともしないバカゲーっぽさは逆に新鮮ですらありました。ただいくつかのミニゲーム時限要素なのでトロフィー目的だとやり直す必要があるのが難点。

グラフィックはリマスター作品にしてはだいぶ綺麗。特に戦闘中召喚マテリアでザックスの顔がアップになる場面が一番綺麗さを実感しました。

しかしムービーの画質はやや粗め。FF零式の時は戦記物のおかげでざらついたムービーも逆に雰囲気あって良く思えたんだけど、こっちは単純に解像度低くて見辛いだけなのが残念。当時作られたプリレンダムービーとリアルタイムカットシーンでザックスの顔が違うのは時の流れを感じますね。余談ですがPSP版発売当時知り合いが「めっちゃ泣いたわ〜」とか熱っぽく語ってるのを鼻で笑ってたんだけど、よもや10年以上の時を経て自分が遊ぶことになるとは思いませんでしたわ。作中でみんなガラケー使ってるのも懐かしや。FF7ACクラウドのケータイがFOMAだったのは覚えてる。

戦闘

戦闘は剣での通常攻撃とセットしたマテリアで魔法や技を自在に操れる馴染みやすいシステム。弱点属性の撃ち分けは基本中の基本だが連続攻撃後に技を使うとダメージup、ノーダメージで敵を倒せばリザルトボーナスで回復できたり戦闘システム自体はオーソドックスながら細かいところに手が届く仕様が嬉しい。魔法を使うと自動でバックステップして敵と距離を取ってくれるモーションが結構好き。

画面左上に表示されたD.M.Wは完全自動で回転するスロット。出目によってMP消費0や物理無効などの強力な恩恵を受けられるデメリット一切なしの優れもの。MP消費0になったら魔法ガンガン叩き込んだり戦闘がマンネリにならないよう状況を変化させてくれるスパイスめいた役目を果たしてくれる。

とはいえD.M.Wは受け身なシステムで能動的に意識する部分は殆ど無く、絵柄が揃ってリミットブレイクや召喚獣で攻撃する時ボタンを押すくらいなので実質的なQTEと言っていいかもしれない。

むしろD.M.Wでは絵柄が揃うと時折ザックスの心の映像が垣間見れるのだが、この演出を見ることこそが目的だろう。この心の映像、ザックスがソルジャーとして働き出したクライシスコア本編前の思い出から、メインストーリー中では語られなかった幕間までザックスと周囲の人間関係が数多く描き出される。

この心の映像は「実は物語中にはこんなことがあったんだぞ」と、メインストーリー中で語られなかったエピソードが時系列が前後する形で披露されるのがポイント。あえて時系列を前後させてミニエピソードを披露した方がこっちの想像力も広がるし上手いやり方だと思う。クライシスコア本編前に戦闘の手ほどきを受けるザックスや亡くなった同僚を想う弔いのシーン、エアリスとの何気ない日常までだいぶ深掘りされてるのでメインストーリーだけでは描ききれなかったザックスの人間性がより深く知れたし、クリアした今となってはザックスに対して親近感以上の遥か昔から知ってる安心感すら覚えるほどの錯覚を感じてしまう。

心の映像は演出としても青く縁取られてるのでムービーだと分かりやすいし時間は1分程度と短め、見たくなければいつでもスキップ可能なのでFF7Rの戦闘時の演出が長すぎて嫌になった筆者としてはこのくらいが丁度よかった。

戦闘に話を戻すと、ゲーム的な難易度はアイテム使い放題なので序盤のボスイフリートに負けたくらいで基本サクサクです。ゲーム後半になると状態異常ゲーに変貌して無双ゲーめいた大立ち回り演じられるのも面白かったっす。

宝箱を探せ!
メインストーリー中ではセーブポイントでいつでもミッションが受けられる。しかしショップの開放のため多くのミッションをチマチマこなす必要がありめんどくさい。ミッション内容は特定の敵を倒す・宝箱の回収とどれも同じで単調。

PSP版が携帯機で隙間時間にいつでも遊べた、モンハンを筆頭にやりこみ全盛期だったことを踏まえればこの膨大なミッション数も理解できるのだが、今の令和の時代にモニターの前にどっしり座っていざ遊ぶぞと意気込んだ先にチマチマ作業をやらされるのは結構ダルい。ここら辺は携帯機と据置機の違いゲームのトレンドの変遷なのでしょうがないと割り切れるものの、物語が軌道に乗ってくるチャプター3くらいまではこのミッションのやる気が起きなくて中々食指が動かなかった。市街地に置かれた宝箱が背景と同化して見つけづらいのも難点。

とはいえゲームクリア時にはちょうど50%まで達成したのでなんだかんだ言いつつ楽しんだのかもしれない。

ザックスと共に生きる者たち

ザックスはキャラデザの第一印象通り爽やかな好青年。純粋ってほどじゃないけど英雄になりたい真っ直ぐな夢を持ち後輩の面倒見も良い世話焼き。先ほど書いたように「ザックスと友達になりてぇ!」って考えるより早く「え、ザックス?地元の友達だけど?」って言いたくなるほど親近感通り越した情が湧きました。まあ彼にはカンセルっていう本作一番の善人であり友人がいるのでそちらには勝てそうもありませんが。あの人モブなのがもったいないくらい性格だよな。 セフィロスはおかしくなる前のまともな姿が見られます。直近で覚えてるFF7Rでの言動はFF7オリジナル未プレイの人は訳分からんだろってくらい行動原理が不明だったけどこっちはちゃんとしてます。ただ今作のセフィロス「あれっ、思ってたより親しみやすいじゃん」と思わせる部分とどことなく狂うに足る素質はあったと思わせる人間的な弱さ繊細さを感じられましたね。常人だからこそ狂える、最初から狂人なら狂えない訳だから当たり前か。まともとは言っても狂ったセフィロスとの比較の話で普通に考えりゃこんな超ロングヘアで馬鹿デカい刀持った大男なんて十分アナーキーな部類かも知れませんが。なんか考えすぎてまともが何がよく分からなくなってきた。まともセフィロスってクールで理知的で常識人なんだけど酒入ったら絡み酒でめんどくさそうなイメージ。

で、そんなセフィロスよりヤベーのがジェネシス。耽美系で何言ってるか分からないタイプのヤツ。CVがGACKTって時点で他の誰にも真似できないキャラに仕上がってますが顔立ちもちょっとGACKTっぽいのはこだわり感じました。正直GACKTが演じてる事実が先行しすぎてキャラとしての魅力は今ひとつな感じですけど、後述するアンジールとセフィロスと3人親友なことを踏まえればこいつも変なヤツだけど人間臭い部分もあるのかもなーと思ったり。

余談だけど筆者個人の芸能人GACKTに対する印象は格付けチェックや翔んで埼玉を面白いと思いつつも、アパレルやコインで自分の分が悪くなったら逃げるイメージが強くてダサいと思ってるんですけど、ゲーム中はそんなこと関係なしに悪印象を抱かず楽しみました。声の演技も結構頑張ってますし。何が言いたいかというとGACKTが好きじゃなくても食わず嫌いせず遊んでみろよってことだよ!クリアして久しぶりにバニラのPV観たからね俺。愛してもいいかーい。

そんなクセつよ2人を差し置いてクラスファースト最後の良心がアンジール。ザックスと同じ隊服着てるし最初ザックスの親父か?って思っちゃったけど血縁関係無しのただの有能な上司です。まあバリバリ父性を感じるし実質父親的立ち位置ではありますけど。そんなこと言ったらザックスのホントの親父が怒るか。ザックスにとって尊敬すべき上司であり先輩、追いつくべき目標であり乗り越えるべき壁という欲張りキャラ。

悪の科学者ホランダー博士役が何故か大和田伸也だったり(もちろん演技は上手かった)、シスネが若干棒読みだったりユフィがブサイクだったりザックスを取り巻く人間関係は賑やか。芸能人起用多くてなんか時代を感じますね。

いなくちゃ話が始まらないクラウドだけど今回は脇役。こいつにはこいつの過去があったと知れたのは大きな収穫でした。実は筆者はザックスに夢中になるあまり若干クラウドの存在を忘れかけてたので初登場シーンでは「うおおっ!」ってテンション上がりました。なので是非これからプレイする皆さんにはクラウドの存在を忘れてオレと同じ感情を共有して欲しいですね。クラウド、思い出の中でじっとしていてくれ。

エアリスは可愛かったっすね。初見こそ白のワンピースのシンプルさと髪のボリュームがミスマッチに見えて若干ケバく見えましたがすぐ慣れました。正直FF7Rをプレイしたのも数年前なのでエアリスが古代種でカタコトで喋ることをすっかり忘れてたんですけど遊んでてすぐ思い出せてよかった。

でも筆者自身はFF7Rでエアリスの魅力を知ったのも昔の話で今となってはすっかり彼女の魔法が解けてしまった自覚があります。ビジュアルこそ可愛いけど今改めて無自覚天然風計算小悪魔あざとい性悪エアリスを見るとヴァアッ!!!って叫びたくなるくらいこいつ苦手〜って言いたくなります。なんか嫌いな食べ物口に入れた時の感覚と同じで飲み込もうとしても喉が嚥下をひたすら拒絶するような、そんな生理的嫌悪感を覚えるんよ。FF7リバースでまた可愛く思えたりすんのかなコレ。

でもそんな彼女もザックスとの波長の合い方は運命レベル。FF7Rのクラウドと初対面のシーン思い出すと笑っちゃうくらいザックスのがお似合いだと思う。

ED

で、肝心のEDよ。

語りてぇ〜〜のでここからネタバレです。

開くとネタバレ さすがにPSP版が15年以上前なので未プレイながらどういう結末か知っていたし、なんならyoutubeEDを見たこともあった。加えてFF7Rでザックス生存が確定しているのも相まって泣いたり感動とまではいきませんでしたね。素直に良かったと思える話で満足したけど。

それにしても演出が良かった!絢香のWhyも良かった!

クラウドの叫びから間髪入れずにこれまでのザックスの姿がクラウド視点で写し出され、想い出を包みこむような絢香のWhy!いやぁ〜〜ー〜エモいエモい!!クラウド視点ってのがまた憎いね、プレイヤー目線とシンクロさせてくるんだもんズルいよこりゃあ!

whyの曲自体も良かった。まあ歌おうにもキーが高くて歌いづらいし無理すりゃ声が裏返るしそもそもおれ親父譲りで音痴だし……という事情を差し引いても「ワアッハァー↗︎‼︎!!」って口ずさみたくなるくらい良い曲。気付いたらサビを口笛吹いてるくらい好き。EDムービーで歌詞テロップが表示されてれば最高だったんだけど些細なことよ。

でも、わりかし残念だった点もあるんですよ。

それがこのD.M.Wが消えゆくシーン。そもそもの話、元のPSP版ではこのD.M.Wは毎回画面に大写しにされリールが止まるたびに戦闘がストップしてテンポが悪かったらしいのですが、だからこそそれまで使ってたD.M.Wがザックスの命と同じく消えゆく演出として機能していたのでしょう。

しかし今回リマスターするにあたり画面左上に表示して戦闘を止めることなく軽快なテンポを実現したぶん印象に残らないシステムになっちゃった訳ですよ。つまりいきなりラストバトルで画面に大写しされても効き目薄な訳です。普段使ってたシステムがそのまま演出になるからエモいのにムービーにしたおかげで演出の破壊力が弱くなっちゃったのよ。これが残念。まあこればっかりはしょうがないというか、いちいちD.M.Wが止まるテンポの悪い戦闘を遊びたいとも思わないですしこれで良かったんでしょうけどもね。ゲーム的な改善で演出が弱体化したってのはつくづく惜しかったと思う。

他にはエアリス守ってくれてたアンジール何だったん?とか4年も経ってたの?とか物語後半がダイジェスト的とか細かいところ突っ込めばキリないんだけどここら辺は雰囲気で理解できるので全然許容範囲です。容量の都合で泣く泣く削った部分があるのは容易に想像できますからね。

ネタバレ終わり。

今回FF7リバースに向けてザックスを知るためにプレイした訳ですが、大抵そういう最新作のために過去作を履修するのってゲームでも映画でも気持ちがおざなりになりがちじゃないですか。楽しむために遊ぶんじゃなく知るために遊ぶ義務感って辛いし。

しかし本作を遊んでる最中はそんな義務感を覚えることなく素直に楽しめました!メインストーリーのテンポが良くボリュームも20時間程度と腹八分目で満足感たっぷり。いやあ〜久しぶりにいいもん遊びましたよ。本作単体での満足感に加えて、今度のリバースでこの続きが見られるわけでしょ!?最高かよ!!!!流石にBCとかDCとかECとか派生作全部までは遊ぶ気にはならないのでこのザックスとの思い出だけを胸にリバースにつっこみます。

最後に手前味噌で恐縮ですが昔書いたFF7Rの雑な感想を久しぶりに読んだらめっちゃスクショ載せてるおかげで段々記憶蘇ってきてあーそんなことあったなーーってめっちゃなった!当時の俺これ書いたの超ファインプレーじゃね!?書いといてくれてありがとう当時の俺!

まとめ

良作。遊べばきっと君もザックスという男が好きになる。その一点だけをもってしてもお釣りが来る作品。リマスター元が15年以上前なので一部遊びづらさを継承したままの部分もありますが、どうせ時間が経てば悪いところ忘れて良い思い出だけが残るんだから是非手に取ってほしい。

英雄を目指す彼の物語は誰しもの心に刻まれる紛れもない英雄譚でした。 以上、読んで頂きありがとうございました。