さぐりがき

据置ゲーの情熱を取り戻したい男のブログ

僕達は戦場を、歴史を、運命を塗り替えてゆく。『FINAL FANTASY 零式HD』レビュー

はじめに

PS5専用でFF7RのユフィDLCが出るらしいっすね。ユフィのデザインは原作ママらしいけど新たな物語が紡がれると分かった今となっちゃサプライズに欠けるし今風にリファインしてもよかったかも、ティファの黒インナーにもなんだかんだ慣れましたし。まあ続編での新衣装に期待しますか。まだPS5買えてないけど。

コンピFF7を網羅したFF7ECスマホで出るそうで。前にCCFF7出してくれって書いたけど出来ればただの原作リマスターを据置でやりたかったなぁぁあ〜〜〜〜〜っ。これ絶対遊ばないとFF7R2が分かんなくなるやつじゃん!!!俺あくまでオリジナルを尊重したものが遊びたかったのであって変にFF7R2に合わせた追加要素が遊びたい訳じゃないんだよなぁ。せめて据置に買い切りで移植でもしてくれれば考えるかもしれない。

他にもFF16も絶賛開発中ですし、ルミプロの新作タイトルがFORSPOKENと発表されたり直近ではスクエニ買収報道なんてデマもありました。そういえばPS4FF13トリロジーが出るとひそかに期待してたんですけどついぞ出ませんでしたね。

そんなこんなで久しぶりにFF熱が再燃したのでなんかやりたいな〜と探していたら…
そういえばFF零式があるじゃない!
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という訳で前置きが長くなりましたが今回はFF零式HDをレビュー。ちょうどPSストアで半額セール中だった時に買いました。本作は2011年にPSPで発売されたオリジナル版のリマスターです。難易度ノーマルでクリア時間は一周目が38時間37分03秒、二周目クリアまでで累計64時間20分51秒。ちなみにオリジナル版は未プレイ。


目次

あらすじ

物語の舞台は東方国家群オリエンス。この世界には魔法を自在に操る『朱雀領ルブルム』、機械文明が発展した『ミリテス皇国』、女性君主で竜と共に生きるコンコルディア王国』、強靭な肉体を持つ『ロリカ同盟』の4つの国家が存在し、それぞれ四神の名を冠する固有のクリスタルを所持し利用することで独自の文明を形成していた。

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鴎暦842年水の月12日。突如としてミリテス皇国が朱雀領ルブルムにクリスタルの引き渡しを要求、侵攻を開始。朱雀クリスタルを擁する魔導院ペリシティリウム朱雀は魔法と召喚獣でこれを迎え討つも皇国軍の魔導アーマーと新兵器クリスタルジャマーの前に為す術はなく、一帯は戦火に包まれた。

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もはや敗北は決定的と思われたが間一髪のところで朱雀奪還作戦は成功し壊滅的な被害は免れた。この作戦を成し得た立役者こそ0組(クラスゼロ)と呼ばれる少年少女達であり、彼らこそ今後巻き起こる長き戦乱に終止符を打ち、ひいてはオリエンス全土に福音をもたらす救世主であった。

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我ら来たれり。

基本的なゲームの流れ

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本作では拠点となる魔導院での自由時間と戦場でのメインミッションを交互に繰り返しながら進めていく。自由時間中は画面右下に次の作戦開始までのタイムリミットが表示されるので仲間と会話して情報を集めたり授業を受けパラメータを上げる、チョコボを繁殖させたり依頼をこなして報酬をもらったりと好き勝手に過ごすことが可能だ。一見とっつきにくい印象のある時間制限だが時間が進むのは頭上に!マークのある人物に話しかけるかワールドマップに出かけた場合のみ。リアルタイムでどれほど放置しようが行動しなければ時間は進まないため焦る必要はない。この限られた時間をいかに計画的に行動するか頭を悩ませるのは意外にも楽しく、少々の不自由さが良いスパイスとして上手く機能している好例だろう。

制限時間といってもバランスは緩めになっており、ゲーム序盤こそ自由時間が少なく誰に話しかけようか迷ってしまうほどだが物語後半になるほど時間が増えゆとりある行動が可能になる。こうしたゲーム進行に詰みが生じない配慮のおかげでRPGの醍醐味であるレベル上げをじっくり行うことも可能だ。

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0組のひとりデュース。かわいい。

グラフィックはPS4世代機向けに調整されており特に0組の面々は下手なPS4タイトルより綺麗なんじゃないかと思ってしまったほどだ。リマスターを遊んでいる際に感じる特有の野暮ったさはあるものの慣れると違和感を覚えることもなく素直に遊べた。マップ切り替えにかかるロード時間も短めでサクサクだ。
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ワールドマップは1地方=1マップという元が携帯機らしいこじんまりした作りだが、チョコボに乗ってそこらを徘徊する化け物じみた強さのシンボルエンカウントから逃げ回ったり地方によってまるで異なる景色を堪能できる。ランダムエンカウントで出現する敵キャラは多い時で同時に5、6体出現するなど元が携帯機にしてはなかなか頑張った作りだと感心させられた。

シナリオ

本作のシナリオは学園物兼戦記物だ。
プレイヤーは朱雀領ルブルムに属する0組の視点を通してオリエンス全土を巻き込んだミリテス皇国との全面戦争を目撃することになる。
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一口にファイナルファンタジーの世界観といっても様々だが、本作ではFF7以降シリーズの主流となった魔法と高度な機械文明が同居する世界でハードな物語が展開されていくのが大きな特徴だ。
魔法の朱雀vs機械の皇国を基本として物語は進んでゆくが戦記物だけあってムービーでは容赦なく銃に撃たれ流血する朱雀兵達が描かれるし、戦闘中は無線越しに戦況報告や悲鳴が絶えず流れ敵将を倒せば「ミリテス皇国に栄光あれ」と断末魔を叫びながら散っていくなど元が携帯機といえど過酷な戦場の描き方に手抜かりはない。

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メインミッションは要塞攻略や敵機単独破壊任務、時として二手に分かれての作戦、馬鹿デカい機械と戦ったかと思えば竜を相手にしたりとシチュエーションは幅広い。特に二章を丸々使って描かれる壮大なジュデッカ会戦や名前を聞くだけでニヤリとしてしまうビッグブリッジの死闘など熱い展開も多い。

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戦争が進むにつれ、どの国の兵士がどこを侵攻したか地図と駒を用いたムービーで描かれるのはシミュレーションゲームのようでありナレーションと一枚絵によるドキュメンタリーめいた形式で戦局が語られる骨太な作りは物語を否応なしに盛り上げてくれる。節目となる戦闘では数万単位もの犠牲者が生じるなどその暗さとスケールの大きさには驚かされるばかりだ。
ちなみに劇中のムービーはオリジナル版から大きく引き伸ばされているため解像度が粗いのだが、そのざらついた画面が逆に戦争としての雰囲気を盛り立てている様に感じられ煩わしさを覚えることはなかった。


このように本作の話の筋そのものは大国同士の戦争というシンプルなものだが、シナリオそのものは率直に言ってとっつきにくい。なぜなら造語の数々が多く直感的に理解しづらいためだ。

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9と9が9を迎える時根源なる意志世界にフィニスを与えん。う〜ん分からん。

どれほど理解しづらいかというと、まずゲーム起動時タイトル画面に入る前世界観の根幹にまつわる神話の説明物語の始まりを描いたものの2つのデモムービーが流れるのだが、この時点でいきなりフィニス魔導院ペリシティリウム朱雀パクスコーデックスといった単語を何の説明もなく見せつけてくれる。この時点で既に置いてきぼり。おそらく99%の人が初見ではまず何も理解できず面食らうことだろう(残り1%はスクエニの開発者)。筆者自身一番最初にこのムービーを見た時はタイトル画面に辿り着く前からプレイヤーの心を折りにきてるのかな?と(皮肉でなく)疑ったくらいだ。
もちろん造語はこれだけではなくゲームを進めるにつれアギトルシファントマなどの単語が説明もなく当たり前のように使われるため序盤は特に分かりづらい。
ちなみに図書館内に朱の目録と呼ばれる用語辞典も存在するものの、これにはあくまでゲーム内で起こった出来事の年表やキャラクターの軽い紹介が書かれるのみで世界観にまつわる基本的な単語の説明は載っていない。

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白虎ルシのクンミは乙型のルシで特別な能力を持ってるんだって!!?!お前知ってた???

そのためプレイヤーはこれらの単語を理解するべくモブ達に熱心に話しかけ情報収集にいそしむことで世界観の全容を把握していくのだが、これがけっこう楽しい。

メインミッションを1つ進めるたびに主要キャラやモブ達の台詞はガラリと変わるためバリエーションは豊富で飽きが来ない。拠点の魔導院をあちこち駆け回り話しかけるのは少々面倒ではあるもののあれほど分かりづらかった造語の数々を少しずつ自らの頭で整理し組み立て理解する感覚は思いのほか楽しく、プレイヤーはさながらパズルのピースを集めるようにして自ら情報を紐解きオリエンスの常識に肌を馴染ませていくのだ。モブが1人いれば1回、3人いれば3回と話しかける回数が一目で分かるのも親切でありがたい。
こうして情報収集することでゲーム開始時点ではなんのこっちゃ?と疑問符を浮かべるばかりだった造語もあら不思議、いつしかなんだかやんわりと理解できるようになってる。あくまでやんわりと理解できるとしか言い切れないのが歯痒いところだが、少なくともこれで完全に無知の状態からは解放されるはずだ。

キャラクター

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本作の物語は元々魔道院に所属していた12名の元に新たにマキナレムの2名が加わり0組が計14名になるところから始まる。

筆者はゲーム開始前に豪華声優陣が演じる総勢14名もの0組メンバーを見て割とキャラゲー寄りの作りかと想像していたが、流石に大所帯だけあってか一人一人の描写量は少なめで淡白だ。キャラクター同士の関係性も幼なじみであるマキナとレムがある程度密に描かれるくらいで全キャラ満遍なく深堀りされる訳ではない。
しかしそこで物足りなさを覚えることはなかった。0組のキャラクターたちはどのキャラもステレオタイプめいて個性がハッキリ出ているためキャラクター性を掴みやすかったためだ。
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人物像が掴みやすいおかげで序盤から彼らの年相応の学生らしい日常会話も自然と頭に入ってくる。優等生のエースを筆頭に委員長気質のクイーンやお調子者のジャック、バカで脳筋ナインや口の悪い不良のサイスなどなど生徒達は皆個性的で、彼らが繰り広げる日常はまさしく学園物と呼ぶにふさわしい賑やかさに満ちている。しかしひとたび戦場に立てば見せる表情は真剣そのもの。こうした学園の日常と戦場の非日常の対比から来るギャップのおかげで多面的でひとりの人間として厚みある描き方がされており、気付けばついつい親近感が湧いていた。

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サブキャラクター達もキャラが立っており、そのうちのひとりが0組の教官であるクラサメだ。常に冷静沈着かつ真面目で口数は少なく正直言ってなんの面白みもない堅物としか言いようが無い人物だが、年長者だけあって胸の奥に思慮深い物を持っていることはしっかりと伺える。シナリオ上でもここ一番でしっかりと活躍してくれる頼りになる存在だ。多分FF零式のキャラクターの中で一番カッコイイんじゃないかと思う。

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もうひとりの重要人物は魔導院の魔法局長を務めるアレシアだ。彼女こそマキナとレムを除く0組12名の面々を魔道院に連れてきた張本人でもある。そのせいか12人はアレシアをマザーと呼び絶対的な信頼を寄せており、その疑うことを知らぬ盲信めいた描かれ方は明らかに異質で危険信号。「明らかにヤバいやつじゃね」とプレイヤーに分かりやすく指し示してくれるし正直序盤から悪者の匂いがプンプンする。
アレシア本人の素行も良いとは言えず、依頼を達成してもマキナとレムの分を除いた12人分の報酬しか渡さないなど中々に分かりやすい不公平っぷり。その行動の真意を掴みかねる場面が多い謎めいた人物だが、彼女の裏には一体何があるのか色々想像を巡らせるのも物語の先が気になるミステリーめいた味付けとしてしっかり機能しており物語に深みを与えている。

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ミリテス皇国の敵将であるシド・オールスタイン侵略戦争をけしかけただけあって覇道を突き進む剛の者。ゲーム開始早々大量破壊兵器を投下するというシリアス純度100%の悪役ぶりを見せつけてくれる。茶目っ気のないマジなキャラクターだけあってその雰囲気から伝わるカリスマ性は作中随一だ。ちなみに投下した破壊兵器がアルテマ弾というニヤリできるネーミングなのもいい。

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ミリテス皇国准将の因果応報お兄さんカトルはストーリー上たびたび戦うことになる剛柔相備わるまっすぐな武人で高機動兵器でビュンビュン飛び回り攻撃をかましてくる。この人のおかげで皇国が単純な悪ではない面がより強調されている好漢だ。

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他にも朱雀院を統べるカリヤ院長やルシのセツナカヅサエミナナギといったサブキャラクター達、八席議会の面々などそれぞれに思惑やドラマがある。数多くの大人達が登場するおかげで大人もちゃんと闘っていると分かる描写も多く、子供しか戦ってないと理不尽を感じることのない良質な群像劇に仕上がっている。

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ルシはクリスタルに使命を与えられたものなんだって。へぇ。

さて、登場人物について軽く触れたが本作は明らかにキャラクター達の考え方に異質な点がある。それはこの世界においてとある常識が現実と決定的に異なっているからだ。
この世界では人が死ぬと、生前関わりのあった人間たちは故人にまつわる記憶を失ってしまう。
なんとこのオリエンスの世界に生きる人々は人が死ぬと周囲の人間はそのことをキレイサッパリ忘れてしまう。もう少し具体的に言うなら、話したり会った事実は記憶から抜けないが会話の中身やどんな人となりであったかは思い出せなくなってしまう訳だ。

このようにプレイヤーと死生観がまるで異なるキャラクター達だからこそついつい興味が湧いてくる作りになっており、これは先ほど書いたモブに話しかけるのが楽しい理由のひとつにも繋がっている。

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プレイしている最中はこの死者の記憶を失う設定に対して「これ考えたやつ絶対ドSだろ!!」と思わずツッコみたくなると同時に「よくこんな設定思いついたな」と感心してしまうほどだった。
どうやら記憶を失うのは人の死に引きずられないためのクリスタルの慈悲によるものらしいのだが、この「人が死ぬのが悲しいなら忘れてしまえばいいじゃない」とでも言いたげな人の心を完全に無視したクリスタルの力はハッキリ言っておぞましく仄暗い薄ら寒さすら感じる程だ。
この儚さとおぞましさが同居する奇妙な感覚こそ本作の醍醐味だ。

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朱雀軍は決して単純な正義の立場ではない。この世界の召喚獣は術者の命を代償にするのでそのためだけに編成された決死隊が存在するなど若者達に課せられた運命はあまりにも重い。
赤いマントをたなびかせ疾風の如く戦場を駆け敵兵から朱の魔人と恐れられる0組も英雄などではなく、まだ年若く未熟な彼らはその身を削りながらクリスタルの意志や国家間の思惑といった世界そのものに翻弄されていく。最初こそその歪な死生観に驚いたし死の意味が理解できない彼らの姿は酷く幼く見えたが、時として仲間同士で衝突しながらも成長していく様は誰よりも逞ましい。過酷な戦場で生と死に接し続け自らもまた命を燃やし生を全うせんとする彼らの姿を見るうちいつしか自分でも思った以上に深く深く感情移入してしまい、積もり積もった感情はEDで爆発することになってしまった。
この生きることに全力な0組の姿にはきっと誰しも心打たれることだろう。

戦闘

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本作の戦闘はアクションだ。
独自のシステムとしてキルサイトと呼ばれる特徴的なものが存在しており、敵が隙を見せロックオンが赤くなった瞬間に攻撃を当てれば残り体力に関係なく即死させられる。ボス敵など高体力相手の敵は一撃で葬ることは出来ない代わりにターゲットが黄色くなるブレイクサイトで大ダメージを与えられる。

何度も同じ雑魚敵と戦うことで自然とモーションを覚え何体もの敵を連続してキルサイトで屠っていくのはなんとも気持ちがいい。戦闘バランスは戦場の緊迫感を出すためか銃弾一発ですら割とダメージが高く序盤こそ戸惑いを覚えたが、ボタン押しっぱなしでも通常攻撃を連続して出せるしスティックを上下に傾けるだけで簡単に違う技が出せるので慣れれば楽々だ。魔法やアビリティを自由に成長させられるのもアクションに振り切り過ぎない調整で遊びやすい。

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パーティメンバーは3名。1人戦闘不能になるたびに控えから追加で人員を補充でき14名全員が倒れるとゲームオーバーとなる。この仕様のおかげで自然と全キャラを満遍なく使うような設計になっているのは上手いやり方だ。
自由なキャラ切り替えは不可能、いわゆるデスチェンジしかできない点はやや不便だが慣れてくるとそれもゲームバランスの一貫の様に感じられ納得感があった。キャラをひとり犠牲にして召喚獣を出したり、ある程度余力を残しつつ誰を出そうかリアルタイムで次の戦闘キャラを考えるのも戦略的で面白い。

最初は全14名もの0組の誰を使おうか迷ってしまうほどだ。見た目・武器・性能・声優等々で気に入ったキャラばかりを使うのもいいがまずは全員軽く触れてみるのがいいだろう。キャラのモーションもそれぞれ大きく異なりいかにもそのキャラらしい性格が感じられる作りになっているので、使っているうちに自然と好きになることもあるかも知れない。

肝心の筆者といえばほぼ女性キャラメインで主にセブン・サイス・レムあたりをよく使ってました。ここから軽く各キャラの所感をば。

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セブンは鞭による広範囲攻撃が魅力。大勢を巻き込んでぐるんぐるん弧を描いたり、片手を地面に付けての宙返りするモーションも中々のお気に入り。割と押しに弱い生真面目な感じの性格のセブンだけど攻撃モーションがやたら攻撃的で正に女王様って感じなのが意外。
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サイスはやや攻撃の発生が遅いのが難点だが正に戦闘狂って感じでブンブン移動しながら大鎌を振り回せるのが気持ちいい。敵を倒せば倒すほど性能upする鎌とかド定番でいかにもそれっぽい。通常攻撃上で空中の敵も狩れるのは何度もお世話になりました。ファントマ回収する時の挑発的なポーズ好き。
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レムは極めてMPが高くアビリティのコンバートと組み合わせることで魔法永久機関の出来上がり。もちろんマントとスカートをたなびかせクルクル宙を舞いながらダガーでザクザク切り刻むのは効果音込みで気持ちいいし、きりもみ回転しながらの回避モーションも好き。

デュースはシャボン玉のような音色で攻撃し雑魚で頻繁に登場する通常攻撃が効きづらいプリンにも安定したダメージを出せる。ボス戦で敵がダウンしているとき音色が連続して当たると相手体力がゴリゴリ削られてくのは見てて気持ちいい。
ケイトは遠距離キャラの中で一番かな。攻撃しないと自動でチャージが溜まる仕様なので引き撃ちするも連射するも自由、追尾性能の高さのおかげで使い勝手良し。
クイーンはおそらく近接の扱いやすさで言えば随一。突きを主体とした剣攻撃で発生が早く赤く光ったのを見てからでも充分キルサイトに間に合うし、ビスビスビスッて感じに突き続けられる。
当たればデカいメイスを振り回すシンクは正にロマン砲。ゆるふわ縦ロールガーリーな見た目に反してこういう無骨な獲物扱う女の子ってのはやっぱりロマンの塊です。でもやっぱり攻撃発生が遅く使いづらい印象があって一周目は全然使わなかった。二周目になると割と積極的に使う余裕が出てきて雑魚をドッカンドッカンふっとばしてました。回転攻撃をアビリティにセットしたままNPCに任せると戦闘終了後も回り続ける竜巻女と化す。

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もちろん男キャラも優秀で、カードを操るエースは0組の中でも主人公的な立ち位置とあって高次元でまとまっており近•遠距離共に扱いやすい。マジシャンぽい手つきで攻撃しながら回避でピシュンピシュン姿を消して移動できるのが気持ちいい。エイトは全キャラ中攻撃の出が最速だがリーチが最短。夢幻闘舞で躱しつづけタコ殴りしてるだけでも楽しい。トレイは遠距離キャラとして最も素直な性能でクセがなく扱いやすく、二丁拳銃のキングもキルサイト狙いにはもってこい。腰を低く落として狙い撃つモーションが結構好き。槍使いのナインは超高高度にジャンプしてからの豪快な一撃が強力で、ジャックは発生の早い刀使いだが移動速度が全キャラ中最遅というめちゃくちゃピーキーな性能。その鈍足のせいで普段使いという意味ではどうしても一歩劣る。マキナは二本のレイピアを使うものの攻撃の振りがだいぶ緩やかで丸太振り回してるような感じ。一般的に想像するレイピアの動きってクイーンだし差別化したのだろうか。


とまあこんな感じ。なにぶんキャラ数が多いこともあって2周した今となっても未だ使いこなせていない印象だがこの奥深さこそ作り込みの証だろう。他にもS.O.と呼ばれる緊急任務を達成できればレアアイテムが入手できたりミニゲームめいた制圧戦などこれでもかと詰め込まれている。戦闘BGMもロックで燃え上がるものが多いのが特徴だが、それと対比するように雨に打たれ戦争の物悲しさを象徴するかのような曲も多く戦-静かな激闘などがお気に入り。ブルーレイサントラ買いました。

HD版独自の追加要素としてイージーモードが存在しゲーム中は難易度自由に変更可能。しかしミッション中に難易度を変更しようとするとミッションを最初からやり直さなければならず救済措置としての使い勝手は悪い。まあ難易度を落とさずとも最初から最後までノーマルで遊び通せたのでそれほど苦労はしないだろう。

ED

そして本作を傑作たらしめる圧巻の出来に仕上げているのがEDの演出だ。

泣いた。

EDで泣いた。種類でいうとボロ泣きです。オリジナル版発売から10年もの月日が経っていることもあり実は物語がどのような結末を迎えるか事前に知っていたのだがそれでも泣いた。

ラスボス戦で本作のテーマ曲である我ら来たれりを聞きながら戦っていると壮大なコーラスに凄く背中を押される感覚を覚えて色々こみ上げてくるものがあった。マジでベッタベタな演出で気恥ずかしさもあってラスボス戦では軽く堪えるくらいで済んでいたが、その後のEDムービーで流れるBUMP OF CHICKENゼロで不覚にもワンワン泣いてしまった。OPでも使われ作中何度もエースが口ずさむ場面があるゼロだが、本作のために書き下ろされ物語と密接にリンクした歌詞なだけあって酷く心に刺さったしドラ泣きならぬゼロ泣きと言っていいレベル。

さきほど0組同士の描写は薄味と書いたように物語中は自分でもそこまで感情移入してないつもりだったんだけどEDで涙したことで自分でも驚くくらい感情移入してたんだと気付かされた。細かな描写の積み重ねに知らず知らずのうちに心動かされた結果です。それにしてもこういう「あっ俺今めちゃくちゃ感情揺さぶられてる」って理性を感情が呑み込んでくると自覚させられる瞬間てのはやっぱり気持ちがいいもんですね。もはやこのEDのためだけに本作を買ってもお釣りが来るレベルと誉めたくなるほど素晴らしい出来で、優に10分は超える長尺にも関わらず何度も見返したくなるし現に何度も見返してる。二周目ですら少しホロリと来たほどだ。
みんな大好きBUMP OF CHICKENのことなのでゼロは何度も聴いてるが本作はプレイしたことない人もいるだろう。そんな人にも是非プレイしてほしい。クリア前に100回聴いていたとしてもクリア後に10000回聴きたくなるはずだから。
どうか、どうか彼らの物語を最後まで見届けてやってほしい。


実は後半の流れはやや唐突と感じる部分もあったのだがその違和感を超える熱量を持った物語を届けてくれたので満足だ。その詳細については以下に記す。ネタバレ注意。

二周目

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2周目ではメインミッションに新たな選択肢が追加され新たなカットシーが見られる。あくまで本編の軽い補完程度の内容だが0組の異なる側面に触れることができ、本筋の物語を見届け世界観に対する理解が深まったうえで見ると更なる発見があるだろう。さらに一周目では敵わなかったダンジョンにも挑戦可能でまさに二周目からが本番といえる。飛空挺でシューティング出来たり遊び心あるミニゲームも面白い。

気になった点

一周目から二周目前提となる強さのダンジョンが何の予告も無く解放されているのでフィールド探索中に気になって入ってみれば一瞬でオダブツ。元が携帯機だから容量の都合上仕方ないし町でNPCが忠告してくれるとはいえ少々不親切。

レベル上げが大変。

0組の話としてはこの上なくまとまっているが物語の全体像を把握しようとすると途端に理解が難しい。アルティマニア買ってようやく分かることが多々ある。そうですアルティマニア買いました。

まとめ

戦場で10代の少年少女が活躍するいかにも日本的な物語や作中で出てくる強烈な造語のオンパレードなどでゲーム開始直後こそ全体像が掴みにくく遊びづらさを覚えた。しかし物語を進めてみればその中身は驚くほど幹の太い硬軟織り交ぜた群像劇に仕上がっており熱量は間違いなく一級品。難しい造語も慣れてくれば分かりづらいからこそもっと知りたくなる深みに誘ってくれる感覚があった。極めつけはエンディングの演出で自分でも驚くほどの感動に浸らせてくれた。

主人公の0組が自らの生き方を見つめ直し、どこまでも生きることに熱心な姿は朱く燃えるような美しさすら覚える。本作は紛れもない傑作でありオリジナル版から10年越しとはいえ遊ぶことが出来た幸運に素直に感謝したい。
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以上、読んでいただきありがとうございました。