さぐりがき

据置ゲーの情熱を取り戻したい男のブログ

可愛く無双して。『リトル ノア 楽園の後継者』感想

またサイゲかよ!

そうツッコまれそうですが今回は『リトルノア』の感想をば。レビューじゃなくて感想にしたのは理由があるので後述。

難易度ノーマルでクリアまで10時間23分。本作は既にサービス終了したソシャゲであるリトルノアを家庭用として設定を引き継ぎつつシステムを一新、蘇らせた作品です。販売はもちろんサイゲームスでジャンルは2D横スクロールローグライト。ちなみにソシャゲ版のリトルノアはほぼ未プレイ、ちょろっと触って辞めちゃいました。正直本作のディレクターはドラガリを一年足らずで交代したりツイッターで他社のゲームに苦言呈したり大した話じゃないもののあんまり良い印象無かったんですが、物は試しと買いました。

あらすじ

天才美少女錬精術師ノアは空飛ぶ方舟で冒険中嵐によって謎の古代遺跡に不時着してしまう。そこで出会ったのは記憶喪失の喋る猫ジッパー。ノアは自身の術で使い魔たちアストラルを使役しつつ、ジッパーの失われた記憶を求めて共に遺跡の奥深くへ駆け出すのだった─。

概要

本作はあけすけに言うなら『誰でも遊びやすい難易度にしたDead Cells』。横スクロールアクションなのはもちろん3つのクリスタルのうち三者択一で強化していく、ダンジョン内のショップでアクセサリーを購入したりエリアを進むたびポーション補給ができたりとおおよそのシステムはほぼ同じだ。ダンジョンを深く進めば進むほどやられたときに持ち帰れる報酬が多く主人公を永続強化できるのも同じ。しかし敵の攻撃力はデッドセルズに比べれば控えめで回復アイテムも多めのバランスになっているのが特徴。個人的にこういう「◯◯に似てる」って紹介の仕方はしたくないんだけど、本作ディレクターが影響を受けたとはっきり公言してるし今回くらい構わないだろう。

しかしまるっきり同じ訳ではない。一番大きな違いはアストラルの存在だ。アストラルとは主人公の代わりに攻撃してくれる使い魔でダンジョン内でランダムに入手できる。特筆すべきは1匹のアストラル=1アクションになっている点で、複数装備すればボタンを押すたび異なるアストラルが現れ入れ替わり立ち替わりコンボを刻んでくれるのだ。ネズミのアストラルなら小攻撃でオークなら大攻撃、ドラゴンなら遠距離まで届くファイアボールと種類はさまざま。通常攻撃ボタンを連打するだけで異なる攻撃がどんどん繋がるのが気持ちいい。

実は本作の『君だけのコンボを作り出そう!』という紹介文を見た時はありがちだしなんか面倒臭そう難しそうだとマイナスイメージしか湧かなかったのだが、遊んでみればなんてことはないアストラルの順番を入れ替えるだけで自在にコンボを組み替えられる!このお手軽さは事前の想像より100倍楽!発生の早い小攻撃ならまず初手に配置するだろうし、隙の大きい大振りならフィニッシュに据えたい。じゃあ敵を手元に引き寄せたり空中に打ち上げたりする搦め手はどこに配置しようか……そんな風に色々試行錯誤して限られた手持ちのアストラルで自分が一番使いやすいコンボを考える奥深さが面白い。これこそ本作一番の醍醐味と言えるだろう。限られたといってもアストラルは頻繁に入手できるので選択肢は豊富だし、同じアストラルを入手するとレベルが上がって強化されるのも無駄にならなくて嬉しい。

装備したアストラルたちは移動時にてこてこ後ろをついてくる。これがチョーカワイイ!初めて見たとき思わずキュンってなったし久しぶりにキュンってなった、それくらい可愛い。3Dモデルは見た目こそ簡素だが原作のキャラクターデザインを吉田明彦氏が手掛けただけあってどことなくブレイブリーシリーズを彷彿とさせる外見で親しみやすい。動いている姿を見れば誰もがすぐ虜になるはずだ。

本作には通常攻撃枠の他にスキル枠も存在し、同じアストラルでもスキルに配置すれば通常攻撃とは異なる攻撃をしてくれる。スキルだとより個性の強い攻撃方法になるので人によって大きく戦術が分かれることだろう。

このスキルに関して個人的に嬉しかった点がある。デッドセルズでも出てきたトラバサミ系のトラップや自動砲撃してくれるタレット系のスキルが存在しない点だ。存在しないのがなんで嬉しいの?と疑問に思うかもしれないが、筆者は一撃喰らうだけで瀕死なデッドセルズではどうしてもこれらのスキルを多用して待ち主体の戦闘スタイルになってしまった。相手が罠にハマるのを待つのは安全だが戦い方としては受動的、慎重を期して自ら望んだ戦い方なのに焦ったいジレンマを抱えてしまった覚えがある。しかしそのようなスキルが無い本作では自然と敵の矢面に立って攻める能動的な戦い方が楽しめる。やっぱりこういうバンバン敵を倒してく方が気持ちいーわけですよ。単純に敵を倒す楽しさをお手軽に味わえるって意味でもこの調整は良かったと思うし、デッドセルズにあった要素をあえて削除して異なる方向性を示したのが印象良かったというか単なるパクリじゃないんだなって感心しました。一応言っときますが別にデッドセルズとどっちが優れてるとかいう話じゃなく方向性の話なので勘違いしないでくださいね。まあDLCでトラップ系のスキル来るかもしれないし、もし来たらこの話は忘れてください。予防線張っときます。

マップもしっかり考えられていて宝箱を取りたくても鍵がなければ罠をかいくぐって進まなければならないし、報酬目当てにモンスターハウスに挑戦したかと思えばボーナスステージの的当てでミニゲームめいた息抜きできたり自動生成ダンジョンでもなるべく緩急を効かせようという試みのおかげで自然と長々と遊んでしまった。一度クリアしたエリアならファストトラベル可能で移動に時間がかからないのもナイス。

アクセサリーの所持数に上限が無く効果は死ぬまで累積するのも遊びやすさに大きく貢献しているポイントだ。いくらでも持てるから捨てなくていい悩まなくていい取れば取った分だけ強くなれる。本作のようなローグライトは序盤の死は必要経費と割り切って拠点で強化すればするほど戦闘に慣れるほど無双めいた戦いができて楽しいものだが、アクセサリーを全て持てるおかげでノアは飛躍的に強くなれるのだ。もし拾ったアクセを捨てられれば吟味するマネジメント的面白さが生まれるものの、本作ではそうした面白さは不要と割り切ってアクションに集中することだけを目指した作りなのが伺える。

そもそもクリスタルによる強化は属性で分けられている訳じゃなくて距離によって分けられてるんですよ。近接強化のレッドクリスタルなら炎の剣でも氷の剣でも近接攻撃なら効果が発揮されるのでビルドのリカバリーがしやすいのもポイントですね。属性強化はあくまでアクセサリー頼りという。

さすがにデッドセルズほど吸い付くような操作性ではないもののガンガン強くなったノアで無双するのは単純に楽しいし、敵を倒して溜めたゲージでやたら強い必殺技アニマバーストを使ってピンチを切り抜けるのは爽快感バッチリ。可愛いうえに強いなんてもはや言うことなし!

世界観が明るい点も評価したい。こうした戦いを宿命づけられたゲームは世界観がシビアなことが多くもっと明るいものがほしいと常々感じていたので、親しみやすい世界観は素直に歓迎だ。序盤のステージで抜けるような青空と草原の下でサクサク敵を倒してくってのは見た目にも気持ちいいもんです。物語は短めで正直あってないようなものだがシンプルに王道だし、主人公のノアはいつも前向きジッパーは偏屈ツンデレでどちらもかわいい。ソシャゲ版リトルノアの前日譚なので原作を遊んでなくても楽しめるのもポイント。

字がデカいのもありがたかった。ゲームを遊んで真っ先に嬉しかったのはこれですね。筆者はよっぽど字が小さくなけりゃ気にしないタイプなんだけど、やっぱり字がデカいと見やすくていいと改めて感じました。グラブルウマ娘やってるとスマホ近づけすぎて知らず知らずのうちに眼精疲労になってますもん。

ここからは気になった部分の話。ひとつは回避に無敵が無い。敵を回避で通り抜けようとしたら通せんぼされて攻撃を喰らうのは初見でけっこう面食らった。まあ回避に無敵付与する高レアアクセサリーがあるので意図した仕様なのだろうし慣れれば平気で遊べるので何の問題もないが、やはり初めて遊んだ際多くの人が面食らうはず。

ふたつめは強い攻撃ほどエフェクトが派手で主人公が見づらくなるのは残念。特に主人公のシルエット(輪郭)だけみれば女性型の敵キャラと似たり寄ったりなので混戦だと敵と主人公を誤認する、たまに左右どちらを向いてるか分からなくなる場面があった。元々アクションゲーム向けのキャラデザじゃないのでしょうがないとはいえやはり見づらい。

どちらの点もなぜそうなったか理由がなんとなく想像できるので減点するほどじゃないが、気になったので一応書きました。

大きな見落としをしていたんだ

実は本作にはもうひとつ重要なシステムがある。それがエーテルスラストだ。エーテルスラストとは周囲の時間の流れを遅くして狙った敵に瞬時にワープしてダメージを与える技。そのうえコンボをリセットしてくれる優れもの。コンボを出し終わったあとこれを使えばまた初めからコンボを繋げて怒涛の連撃を叩き込める継戦能力に非常に長けたシステムなのです。単純にジャンプや回避の代わりとしても使えるし正に攻防一体の技といったところ。システム的にアストラルと双璧をなす本作の要といってもいいかもしれない。

このシステムを。

俺は。

ラスボス直前まで忘れてて使わなかったんですよ。

率直に言ってやらかした!だってこれを使うかどうかで火力が倍以上変わってくる訳でしょ!?今まで必死こいて敵追いかけたり回避してたのはなんだったのってなるじゃないですか!高い所にいるドラゴン倒す時もいちいちピョンピョンジャンプして倒してましたし、高体力のボス相手にチクチク攻撃繰り返してたんですよこっちは。まぁそうは言ってもこれまでの徒労感に対して憤慨する気持ちは全然無くて、むしろ気付いてればもっと別のゲーム体験ができたなって取り逃がした気持ちの方が大きいんですけどね。なので言うほど落胆も後悔もしてません。

『基本的なシステムを見落として無意識な縛りプレイになって苦労した』という経験はゲームを遊ぶ人なら誰しも一度くらいはやらかしたことあるんじゃないでしょうか?今回の俺は正にそれ。この記事がレビューでなく感想なのもこの見落としが理由です。だってこういう片手落ちで遊んだって気付いたらレビューって言い辛くない?気付かぬままクリアしてればそのまま書いてたかもしれんけど、一応気付いちゃったので。ひとつ言い訳させてもらえるならエーテルスラストはデフォルト機能じゃなくて拠点でほんのちょっと能力を解放しないと使えないシステムなんですよ。だから能力解放したにも関わらず影が薄くてスルーしてたし、なまじボタン連打でも遊べるおかげで有用性に気付かぬまま遊び続けてしまったわけ。デフォルトで搭載されてたら多分バリバリ使ってましたね。結局雑魚戦でもラスボス戦でも使ったらめっちゃ強かった。

なぜその存在を忘れてたのに気付けたかってラスボスに一回負けたあと「そういえばDLC買ったのに適用されてないな」って思い出してネットで調べたからなんですよ。そこでエーテルスラストの存在を思い出したという。結局DLCが適用されなかったのは1+2パック購入とは別で個別に無料DLしなきゃいけなかったからなのでした。面倒だけどすぐDLして解決しました。

で、そのDLCにも言いたいことがあって。このDLC強くない?だって複数の敵を通電したり倒した敵が爆発したりちょっと想像もしなかった強さのアクセサリーが登場するし救済措置めいた作りですよこれは。ちょっと今までの苦労は何だったんって思うくらい強い。キャルちゃんだったらヤバイわよ!って絶対言ってる。プリコネ全然知らんけど。

おそらく難易度ハードや一撃死モード向けの調整なのでしょうが、それならそうと明記してほしかった感じはあります。知らなかったとはいえよりによってラスボス前にDLしたことでDLCでズルしたみたいな感覚になっちゃったのはマイナスポイントですね。まぁ結局DLC使ってクリアしたので偉そうなことは言えないんですけど。

なんにせよデッドセルズを2周でギブアップして真エンドが見られなかった筆者からすれば一周でしっかりEDが見れたのは満足感高いと言っておきましょう。

その物語の結末は

そして最後にエンディングを見て凄く寂しくなった話を最後にしたい。先ほど物語はあってないようなものと書いたとはいえ最低限の物語はあるわけです。本作はソシャゲ版リトルノアの前日譚だけあってエンディングではごく自然にソシャゲ版に続く流れになっている。ゲーム内でしっかり話もまとまっているし何の変哲もないこれからもノアの冒険は続くよくある普通の終わり方なのだが──。

サービス終了してるからこの先の物語永遠に見られないじゃん。

そう思ったらマジで胸が締め付けられた。ギュウってほどじゃないけどクッくらいは確実になりましたね。事前に前日譚って知ってたしソシャゲのサービス終了も知ってたのにこんなショックを受けるとは自分が一番ビックリしてる。

元々このゲーム自体ソシャゲ版がサービス終了して悲しんでる人に対して形は違えど少しでも遺そうって想いがある心意気のゲームじゃないですか。その善意が伝わったから心揺さぶられた……のは言いすぎですけど、サービス終了を憂いて復活させたことは本来喜ばしいはずなのに、却ってサービス終了が浮き彫りになって寂しくなったのは事実です。ややこしいし自分でもなんでこんなショック受けたのか分かんないんだけど疑似的にサービス終了を経験したような気持ちになりました。だからなんだよって言われてもただの報告ですとしか言えないんだけど、もし同じ感性の人がいるならこの奇怪な感覚はぜひ味わってもらいたい。

もちろんソシャゲを違うシステムで復活させる取り組み自体は大歓迎なのでこうした試みは率先して行ってほしいもんです。プリコネみたいにリダイブしても結局いつかはサービス終了が待ってますし、例えオフライン版が出てもOSの更新でいつかは遊べなくなる訳ですからね。

話は戻りますがこの冒険の続きを知るためにもソシャゲ版の続きじゃなくて本作の続編の方のリトルノア2作ってもらいたい。なんかようやく終わりそうな雰囲気なのでそろそろ話まとめましょう。

まとめ

デッドセルズのフォロワーゲームながら換骨奪胎して独自の魅力を磨き上げた良作。値段も安いしグラブルウマ娘に一度でも課金したなら試しに買ってごらんよと素直に思える出来。むしろサプチケ*1の半額だから先にこっち買えと進んで言い切れるほどお勧めなのでサイゲ民の皆さんさっさと買いましょう。娯楽にコスパって考えはさもしいかもしれませんが1500円でこの内容はコスパ高いですよ。

エーテルスラストというシステムの一部を忘れて片肺飛行してたのでゲーム体験が鈍っちゃったのはだいぶ勿体なかったですね。こういうこともあるもんだと割り切るほかないですが。DLCに関しては結果的にそれ使ってクリアしたとはいえ一段階上の強さで気になりました。

とはいえ横スクロールアクション初心者やローグライク初心者に遊んでほしいのはもちろん、筆者と同じくデッドセルズ楽しかったけど真エンドまでクリアできなかったよって人にも存分にオススメしたい。やっぱりEDまで辿り着けるかどうかで満足感違いますから。

という訳で今回はこの辺で。それにしてもプレイ時間10時間の割にめっちゃ書いた。 以上、読んで頂きありがとうございました。

*1:グラブルで使えるキャラや召喚石の交換チケット。3000モバコインで不定期に販売中。