さぐりがき

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鍛え上げられた正義は折れることなく。『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』レビュー

f:id:sinodakei:20211005191107j:plain 八神隆之が帰ってきた!

木村拓哉が主演を務めたジャッジアイズの衝撃から約3年、全てがパワーアップした続編がついに発売されました。ということで今回は『ロストジャッジメントをレビュー。販売セガ、ジャンルはアクションアドベンチャー。難易度ノーマルでプレイ時間は56時間37分。シリーズ作は前作ならびに龍が如くPS2版1・2と0をプレイ済。

あらすじ

f:id:sinodakei:20211004175542j:plain f:id:sinodakei:20211004173407j:plain 「死体の主は御子柴弘。彼は4年前私の息子を自殺に追いやった万死に値する人間です。」

2021年12月。現職警官の痴漢事件として世間の注目を浴びた裁判の判決直後、被告江原昭弘は未だ身元不明の殺人事件について静かに語り出した。 f:id:sinodakei:20211004173423j:plain 江原には遺体の死亡推定時刻に痴漢をしたアリバイがあり直接の犯行は不可能だが、強い動機が存在し警察ですら知り得ぬ秘密の暴露で殺害に何らかの関与をしたのは間違いない。疑念を抱いた江原の弁護士城崎さおりは二つの事件について元同僚で探偵の八神隆之に調査を依頼する。彼は横浜の進学校で独自にいじめ調査を行っていたが、くしくもその誠稜高校こそ江原の息子が通っていた悲劇の舞台であった。 f:id:sinodakei:20211004173510j:plain はたして一見無関係な痴漢と殺人事件の繋がりとは、いじめ被害者遺族が起こした復讐劇の真相とはなんなのか。多くの疑問をよそに八神は現在と過去が深く交錯する謎に足を踏み入れるのだった。

ゲーム概要

f:id:sinodakei:20211004173540j:plain おかえりキムタク!!!

ハイ、帰ってきました我らが木村拓哉。又の名を八神隆之。今回も前作以上に大暴れした彼の活躍が見られます。 f:id:sinodakei:20211006155048j:plain f:id:sinodakei:20211006155050j:plain f:id:sinodakei:20211006155046j:plain 今度の舞台はいつもおなじみ神室町と新たに横浜・異人町。グラフィックは前作以上に綺麗になり、カジノやバッティングセンターなどのプレイスポットや実在する飲食店もいつも通り健在だ。

移動の不便さも解消され街中ではスケボー乗り回せるし、わざわざタクシーまで歩かずともアプリで即ファストトラベル可能になった。しかしスケボーは急旋回したり歩道だと勝手に降りてしまい操作のクセが強く、マップとタクシーアプリが別枠なのでマップで目的地を確認した後アプリを開くのは二度手間。慣れれば快適とはいえ痒い部分に手が届かないのが惜しい。 f:id:sinodakei:20211006155103j:plain バトルは前作と比較して挙動が早くなり無双めいた戦いが可能になった。単純にパンチの出が早いってのはそれだけで嬉しいもんだし、追尾性能が高いおかげで適当にボタン連打してるだけでガンガン攻められる。せっかく多彩なヒートアクションがあるのにほぼ自転車ばかり使いがち、一部演出が長いなど未だ解消されない欠点もあるが、操作感の重たかった前作と異なり縦横無尽にキムタクを動かせる喜びを感じやすくなったのは素直に嬉しい。

ちなみに戦闘終了後は「いいから寝とけっての。」「ったくいい加減にしろよ。」とキムタクのカッコイイ台詞が聞ける。正直単なる前作の使い回しで特筆すべき点もないが、筆者はこの台詞を聞いた瞬間「あっ、八神じゃん!」とかつての思い出がフラッシュバックし自分の中に八神という人物像が残っていたことに嬉しくなった。これこそ続編を遊ぶ喜びってもんだぜ!

分かりやすさ優先で常に操作説明が表示されUIが煩わしいなどシリーズ特有の問題点は目に付くし、クリア後ですら自由にエンカウントオンオフ出来ないのは正直不便だ。とはいえ龍が如く7がせっかくの仕切り直しにも関わらずコマンドバトルになり買う気の起きなかった身としては、基本的に操作性や見栄えが良くなったいつもの龍が如くを遊べたことそのものが嬉しかった。

前作と比較して

実は筆者の中で前作の評価はそれほど高い訳では無かった。前作はメインシナリオこそリーガルサスペンスという硬派な作りで満足だったが、何より一部のサブイベントが目を覆いたくなるほど足を引っ張っていた。

だって変態三銃士とか小学生でも笑わねぇよ!?

そう、前作で問題だったのはサブイベントの下ネタの程度の低さ。これはもうハッキリと程度が低いと言い切れるほどにつまらなかった。確かにキムタクにホームレスやドラマGOOD LUCK!!よろしくパイロットの格好させたりトップアイドルと絡ませたり、現実のキムタクを知っているからこそ生じるメタ的な笑いは面白かった。しかし重ねて言うが一部の下ネタは純粋につまらなかったし序盤から展開されるせいで白けてしまった。キムタクというパブリックイメージを壊すことで生み出される笑いを目指したのは充分理解できるものの、セガの持つ元来のギャグセンスの無さのせいでことごとく滑っていた印象だ。 f:id:sinodakei:20211004192859j:plain f:id:sinodakei:20211004192857j:plain f:id:sinodakei:20211004192854j:plain しかし続編の本作ではシリアスとギャグのバランスが上手くとれている。下ネタもだいぶ控えめだ。

今回八神は相棒海藤らと共に誠稜高校の理事長たっての依頼でいじめの有無を確かめるべく調査を請け負う。そこでまず最初にいじめとは決して許されないものだと断じた上で、人類の祖先が集団生活する中で怠惰なものを排斥する合理的判断であり、裏切り者を排斥すればドーパミンにより一時的な快楽を得ると説明がなされる。

このような科学的知見を真っ先に説明した上でなお許されない行為と説く描写は非常に説得力がある。あくまで一説に過ぎないとはいえ、人間は動物と異なり理性で秩序を保つ必要があるのは至極当然で納得感ある導入の仕方だ。 f:id:sinodakei:20211004193000j:plain いじめ調査を依頼した理事長も「いじめ被害者はいじめを知られたくないのに声をかけていいものか。」いじめられた者の尊厳を第一に考えた解決策を模索するのは教職の鏡といえる。

いじめという繊細なテーマを扱う以上最低限のリアリティは求められるが、そのハードルをしっかりと超えてきたおかげで序盤からすぐ物語に熱中できた。お手手つないで仲直りが許されるのは小学生までだし。 f:id:sinodakei:20211005185431j:plain f:id:sinodakei:20211005185433j:plain そして学校でいじめを発見した八神たちは女子生徒を救うため一策を講じる。その手段は加害生徒を懲らしめる単純なものでなく周囲の見て見ぬフリをする生徒達に声を挙げさせるやり方だ。

よくいじめの話題の一つに見て見ぬフリをする生徒達は加害者か否か議論になるが、結局見て見ぬフリとは言え居心地の悪さを感じていて助けられるなら助けたいのは当たり前。確かにこの手法そのものやここまで綺麗に片付くのはフィクションぽさが強いが、傍観者心理を敵視せず逆に利用するやり方はその場しのぎで終わらない理想的な解決法と言っていいだろう。

ちなみにこのいじめっ子達の薄い眉のビジュアルやイキリっぷりがなんともリアル。本作には大勢の生徒達が登場するが誰しもそれっぽい顔付きをしているおかげで非常にドラマを感じやすかった。 f:id:sinodakei:20211005185448j:plain 放課後人知れずいじめられた生徒に優しく語りかける八神の姿は「これ見てキムタク嫌いになる人いないよな」と感じるくらいにかっこいい!!!正直、ちょっと惚れたかもしれん。

ユースドラマ

f:id:sinodakei:20211006235930j:plain 本作にはユースドラマと呼ばれるサブイベントが存在し、八神は痴漢と殺人事件の結びつきを調査するかたわら様々な部活で外部指導員として高校生たちと深く関わってゆく。校内探索するだけでも新鮮だが部活で遊べるミニゲームが面白い!

f:id:sinodakei:20211006155133j:plain 女子高生と一緒に踊るキムタク!

f:id:sinodakei:20211005190253j:plain ボクシングで華麗なジャブを打つキムタク!!

f:id:sinodakei:20211005190243j:plain 特攻服着てメンチ切るキムタク!!!

このようにバリエーション豊かなキムタクが見れる!キムタクという存在に様々な属性が掛け合わせて生まれた化学反応は前作以上にハジけている。

肝心のミニゲームの中身だがダンスは分かりやすい音ゲー。キムタクの掛け声は少なく合いの手すら最低限で少々さみしい。しかし真っ白な歯と満面のアイドルスマイルを見せつけ無言で華麗に踊るシュールなキムタクはツッコミどころ満載だ。

ボクシングは連打ゲー。マジで指が疲れるので大変だがフックやアッパーを駆使して相手のガードを切り崩しストレートを叩き込むのは爽快で、特殊演出で繰り出すキムタクのパンチ力はエグすぎる。成長要素もあるおかげで徐々に強くなっていくのが楽しい。 f:id:sinodakei:20211006155404j:plain f:id:sinodakei:20211006155504j:plain そして数あるミニゲームのなかでもロボ部で遊べる陣取り合戦のロボコンは力の入った作り込みだ。自分たちでパーツを開発して組み替えたロボでの戦いはシンプルに面白い。メニュー画面のやけに爽やかなBGMも好き。

校内ではファストトラベルが使えず素材ショップが遠く一部の素材が非売品でドロップ限定なのは億劫だが、その欠点を乗り越えてでもそこそこ熱中してしまった。ドローン同様私財を投入して本気で勝ちを狙うキムタクの姿はなんとも大人げない。 f:id:sinodakei:20211009043259j:plain もちろんミニゲームの出来に差はある。写真部の撮影は何度も同じ場面を繰り返してベストショットを狙うので単純につまらんし、暴走族レースは数多くの雑魚敵を蹴散らした後にヘッドとのタイマンレースが始まるよく分からない仕様。それこそ過去にF-ZERO GX作ったことを踏まえれば敵破壊も可能な普通の集団レースがしたかった。パラリラパラリラはた迷惑な音を出しつつ何十人もの族を病院送りにしときながら自分はちゃっかりヘルメット被る姿は道交法勘違いしてるとしか思えないんだけどね!?そういえばこの人弁護士でした。 f:id:sinodakei:20211005190446j:plain f:id:sinodakei:20211005190444j:plain これまで通りサイドケースも充実。人体模型に説教したり忍者服着てダーツ対決するキムタクの姿はシンプルに絵面の破壊力が高いのでついついスクショがはかどってしまった。

前作で酷く遊びづらかった尾行も普通の移動と同じく操作しやすくなった。しかし新要素のステルスゲーめいたティー同様チェックポイントが無いので失敗したら最初からやり直しなのは不便。

今回新たに電波探知器と集音器を使った探索要素が追加された。一人称視点で探すので「俺がキムタクだ!」と胸を張って楽しめるし臨場感あふれる体験ができる。しかし集音器は音波が可視化されるので楽だが、電波探知機はメーターしかヒントがないのでめちゃくちゃ難しい。メーターがMAXでも判定が狭いので全然見つからないのが当たり前。一人称視点なので人によっては酔うだろうし、もう少し分かりやすい仕様でも良かった筈だ。難しいぶん達成感はあるし、やり込み要素のペイントサーチも慣れれば謎解きめいて楽しく結局全部見つけたのだが。遊びづらさでいえばVRすごろくの極悪テンポは酷い。 f:id:sinodakei:20211005190530j:plain f:id:sinodakei:20211005193451j:plain f:id:sinodakei:20211005193446j:plain 実は今回八神が外部指導員になったきっかけには天沢鏡子というひとりの女子生徒が関係している。ミステリー研究会部長である彼女は八神とともに学校裏サイトを運営し生徒を非行に貶めるプロフェッサーと呼ばれる謎の正体を探っていく。

天沢は単純に見た目が可愛いだけでなく優等生でありながら事あるごとに事件に首を突っ込む破天荒さと無鉄砲さ、自信満々にバレバレの変装するポンコツさとツボを押さえた性格で親しみやすい。サイドケースにも度々登場しふたり揃って息のあった推理を披露してくれる。カメラ向けるとピースしてくれたりホントに可愛いので八神もウキウキで写真撮ったりご満悦のご様子。 f:id:sinodakei:20211006235616j:plain f:id:sinodakei:20211006235613j:plain f:id:sinodakei:20211006235611j:plain ユースドラマではミニゲームと併せて独自の物語が展開されていく。ダンス部では部員のパパ活疑惑を探ったかと思えばダンスの勝敗でひとりの男を取り合う青春模様が描かれるし、ロボ部では完璧主義でトップダウン型の部長を中心とした団結が描かれる。校内を自由に駆け回り生徒の息づかいを肌で感じながら見る青春群像劇は素直に面白かったし、本編クリア前にしっかりと全て終わらせました。 f:id:sinodakei:20211005190543j:plain ユースドラマもサイドケースもこれまでと同じくやるやらないは自由だし、麻雀ばかり遊んで雀士キムタクを極めるのも良いだろう。しかしダンス大会で優勝した生徒達を全力で喜ぶキムタクの姿は誰よりもかっこいい!肩書きこそ外部指導員だが生徒達に真摯に向き合う姿はいつしか教師キムタクと呼びたくなるほど様になっていた。

メインシナリオ

f:id:sinodakei:20211007000330j:plain メインシナリオでは一見何の関係もない痴漢と殺人事件が暗く冷たいいじめという線で繋がってゆく。光石研演じる江原昭弘には大切な一人息子がいたがいじめを苦に4年前自殺しており、そのいじめていた張本人が遺体で見つかった御子柴。江原は御子柴に敵討ちし痴漢でアリバイ工作した疑惑が持ち上がる。

これほど動機が理解できる殺人事件もそうそう無いというか、彼が殺人を犯したかどうか分かる前から深く同情してしまう話だ。かつて自分の息子を死に追いやっておきながらのうのうと生きる加害者のおぞましさは想像するだけで気分が悪い。どれほど日本は法治国家で私刑はご法度と理解していてもどうしても肩入れしてしまった。 f:id:sinodakei:20211007000007j:plain f:id:sinodakei:20211007000005j:plain いじめは当事者だけでなくその周囲にも暗い影を落とす。江原は勇気を振り絞っていじめを告白した息子を邪険に扱ったことを後悔しているし、学校で出会う教師澤陽子は当時いじめを知りながら口をつぐんだ自分を責め続けている。誰かの幼稚な悪意のせいでここまで多くの人に不幸がもたらされるのだ。そもそも軽いいじりにせよ悪意を持ったいじめにせよ線引きを決めるのは当事者だし、極論を言えば誰もが身に覚えのある出来事というのは身につまされる話だ。

登場人物達の表情は前作以上に表現力が増し怒りも悲しみもダイレクトに伝わってくる。確かにムービー以外ではまだまだ表情が硬く不気味の谷めいているが肌の質感は自然だし頬周りの筋肉も地味に動くようになったので違和感は多少軽減された。舞台が現代日本で同じ日本人だからこそ深く表情の機微が読み取れたし、真に迫る迫力があった。 f:id:sinodakei:20211005190618j:plain 八神は調査を続けるうちいつものように裏社会へと踏み込んでいく。

半グレ集団RKのリーダー相馬和樹を演じるのは玉木宏圧倒的なビジュアルで表現されるスマートな狂気がカッコイイ。玉木といえばダンディな声も特長的だが、ドラマでのよく通る声と異なり低音を重視した鼻声めいた演技でいつもと違った雰囲気を醸し出してくれる。相馬は一見冷静に見えつつどこか余裕ある態度で底知れない不気味さを感じさせてくれたので割とお気に入りのキャラ。 f:id:sinodakei:20211007000229j:plain 山本耕史演じる桑名仁は異人町の謎の便利屋として八神に力を貸してくれる。単純に山本の声の演技が上手いのは驚いた。声の演技が上手い器用な印象が便利屋という設定的にもピッタリだし、職人気質な頑固さとフットワークの軽さが両立した姿は正にハマり役だ。

当然海藤や杉浦ら仲間たちも活躍するが説明は最低限なので前作プレイ推奨。八神の絶対絶命のピンチに駆けつけてくれるのはベタな展開とはいえめちゃくちゃ熱くなってテンション上がった。割と物語的に細かい粗が目につく場面もあるもののこの熱さの前には些事だろう。 f:id:sinodakei:20211007000244j:plain 前作では元々龍が如くが極道モノだけあって昔気質なヤクザの内部抗争が描かれたがおなじみの展開で既視感が強く多少もたついた印象があった。しかし今作では正体不明な半グレと八神の全面的な対立を太く描いているので予測のつかなさに拍車がかかり物語はあらぬ方向へと転がっていく!

それにしても物語中盤のこの展開は予想できなかった!!

それまでの描写が丁寧で予想しなかっただけに率直にこうきたかとシンプルに驚いたし、単純なその場限りのサプライズ狙いではないので物語後半の軸として流れるような勢いを生んでくれた。

実は本作は終盤に入ったあたりで大方の謎は予想できてしまう。推理パートこそ存在するが総当たり可能だし探偵物なのに謎解きを主眼に置いた作りではない。では何が描かれるのか?物語終盤ではふたつの事件を結ぶ真の黒幕と呼ぶべき存在の動機が丁寧に丁寧に語られるのだ。この丹念に時間をかけた描写のおかげで非常に説得力があり思わず敵に深く共感を覚えてしまうほどだった。

このおかげで八神以外にも敵味方問わず強固な信念を持って自らの正義を信じているのがしっかりと感じ取れたし、最後に待ち受ける信念のぶつかり合いは見応え充分!久々に熱いドラマを見せてくれた満足感で一杯だ!!!

まとめ

f:id:sinodakei:20211007000420j:plain 基本的なシステムは前作と同じだがミニゲームの物量とシナリオの質は圧巻だ。ただ増改築を繰り返した年刊化の弊害かそこかしこでUI周りの貧弱さが目につくのが困りもの。ゲームに馴染みが薄い人も遊ぶシリーズとはいえ操作説明を非表示くらいできても罰は当たらないだろう。

本文で分かりやすくキムタクと書いたが、しっかりと八神隆之としての魅力を感じる部分が多かったのは満足だ。学生という未熟な立場との交流を描いたおかげで前作以上に多面的かつ一人の大人として魅力が引き立つ作りは上手い。動機が最初に明かされるおかげでフックが強く感情移入しやすいのもよく考えられているし、ふたつの事件が入り混じり理解しづらいと思いきや繰り返し事件の全体像が語られるおかげで非常に理解しやすかった。

物語終盤で描かれる安易な着地点を見出さず徹底して己の主張をぶつけ合う展開は見事で敵味方どちらにも共感できるからこそ熱くなる。ミニゲームでとことん羽目を外すもよし、メインシナリオで正義を追い求めるもよし。そのどちらも木村拓哉演じる八神隆之の魅力あってこそだろう。 f:id:sinodakei:20211004181157j:plain 以上、読んで頂きありがとうございました。

余談

f:id:sinodakei:20211008163631j:plain ユースドラマのひとつにeスポーツ部があり八神はバーチャ5で戦うことになる。ここでeスポーツの素晴らしさや選手のひたむきな情熱が熱弁されるシーンがあるのだが、本作の総合監督名越稔洋氏のチー牛発言を知っている身からすると「よくこんなこと言えたもんだな」と冷めた目で見る羽目になってしまった。キャラにも現場にも罪は無いけど。

しかしあの発言に嫌悪感を感じていても肝心のメインシナリオの説得力が色褪せることは無かった。発売前からいじめの愚かさを唱える本作の説得力があの発言で薄くなると不安だったが、それが杞憂だったと感じるほど本作の描写は強力だ。ただそれだけに「なんであんなこと言ってしまったのか」という残念な思いが強い。『公に人の容姿を馬鹿にする人が指揮して作ったゲーム』というのは紛れもない事実だからだ。とはいえ擁護するつもりはさらさら無いし、あの発言で買う気が失せた人に無理に薦めるつもりもない。一重に残念という感想以上のものは出てこないのだが。

ryu-ga-gotoku.com

……といったことを書こうとしたら昨日龍が如くスタジオの新体制と名越氏のセガ退社が発表されました。なんにせよ面白いゲームを作ってほしいもんです。