さぐりがき

据置ゲーの情熱を取り戻したい男のブログ

ただ安寧を求めて。『カリギュラ オーバードーズ』ネタバレ感想

f:id:sinodakei:20210714060857j:plain ハイ、いつもの通りネタバレ感想のお時間です。クリアしてない人は絶対見るなよ。完全なる自己責任。じゃあさっそく感想を述べる前にこれだけは言わせて。Welcome to Underground.

ネタバレなしのレビューはこちら。 sagurigaki.hatenablog.com













結局僕は楽士ルートしか遊びませんでした。初回は好感度全部上げきれなかったんで琵琶坂生存・裏切りエンド、次は速攻好感度上げて鼓太郎生存・裏切りエンドを見たので都合4回エンディングに到達したことになります。一度クリアしたあと別のデータで途中からやり直したんで厳密には2周目ではありませんが便宜上2周目って表記してます。よろしく。



帰宅部エンド

で、皆さんEDどうでした?帰宅部EDのほう。

いつまでも逃げてるだけじゃいけないって前向きなメッセージには強く共感したんですけど、個人的にはムービーがいらなかったですね。中途半端で。

f:id:sinodakei:20210716020752p:plain WIREで今度シーパラ集合って場面でスパッと終わらせて完全にプレイヤーの想像の余地に任せるか、それとも正反対にしっかり帰宅部たちのリアルな姿を立ち絵込みで描ききるか。そのどちらかに振り切っていれば凄い満足感高かったんですけど、質の低いアニメで薄ぼんやりと描くのは完全に想像に任せるでも描ききるでもなくどっちつかずで中途半端。本編プレイ中にEDで帰宅部のホントの姿見れるのかな見てえなぁってずっと考えながらプレイしてましたからね僕。それだけが惜しかったかな。とにかく本当の顔が見たかった!もしかしたら帰宅部の仲間たちは現実にいるかもしれない的な効果を狙ったにしてもWIREの画面でプッツン終わらせたほうが爽やかでしょうね。美笛ちゃんとスイートPが一緒にスイーツ食ってるとかその手の描写は良かったですけど。WIREに書かれてる通り集合写真的な一枚絵があってもよかったかもしれない。

現実では髪伸ばし放題のフケまみれであろう引きこもりの笙悟が一念発起して精一杯身だしなみを整えてきた姿とか、拒食症の美笛ちゃんのガリガリだけど病気を押して気丈に振舞う姿とかそういうのが見たかったし、誤解を恐れず言えば人によっては幻滅する人がいてもおかしくないくらいキャラのリアルな姿を見せてこそホンモノだろう、と思います。少なくともそれを自然と期待させるポテンシャルがこのゲームにはありました。個人的にネットを舞台にした家庭用ゲームでは過去に.hack//G.U.*1なんかを遊んだ経験がありますが、あちらはある程度リアルの姿を明かしてたんで似たような種明かしを期待してたってのもあるんでしょうけど。

まぁ味も蓋もない話をすれば予算足りねーんだろなとかそういう部分に着地してしまうし、あくまで惜しかったレベルの全然許容範囲の演出ではあるので構わないんですが。うん。

帰宅部たち

f:id:sinodakei:20210716021742p:plain で、コイツですよ琵琶坂永至。一言で言い表すなら邪悪。常に周りを見下し人を人とも思わない完全無欠のバッドガイ、最低なる最悪人間でした。すぐ空気悪くなるようなこと言うし沸点低いし悪知恵ばっか働くしとんでもない男でしたね。でもウィキッドに閉じ込められた際当たり散らした結果とはいえ部長君お前が犯人じゃないかって見事に言い当ててるのは流石でした。まあ人望ないから否定されちゃうんですけど。アハハ。

それにしても好感度上げた最後があっけなかったのが勿体なかったな〜。前述の通り僕は最初に琵琶坂生存ルート、先にいわゆる琵琶坂出所エンドを見てたので、好感度上げた先には何があるかと期待してもう一度物語進めたら単なる巻き添え死だったとは。しかも飛び降りた当のシャドウナイフはμに助けて貰って生きてるし。それこそシャドウナイフよろしく天誅したかったですね。適当に街歩いてて突然グシャッてのは天罰とはいえあまりに偶発的、テキストでしか語られないのも尻切れトンボで消化不良。琵琶坂死んでも梔子彩声の反応が薄いのもイマイチですし。 いくら改心しない男とはいえ罪を自覚させる土俵に立たせるくらいしてこそ数々の被害者も浮かばれるってもんで、せめて帰宅部皆と対決して追いつめたあと何かしらで死の恐怖を自覚しながら絶命する展開がほしかった。あっけない終わり方が現実的でいいっていう人もいるだろうけど、それ言ったら死んでほしい相手に都合良く飛び降りが直撃するの現実的か〜?って話になりますし。

まあキャラ的には好きだし単純に両方の展開見て全部引っくるめて楽しんだので不満はないんですけど。出所エンドもこれはこれで味があるって落とし方で良かったですから。

f:id:sinodakei:20210716031651p:plain で、その琵琶坂となぜか死の運命が対になってる鼓太郎くん。別名肝チビッチョ。JRPGにありがちな復讐は新たな復讐を生むだけって偽善めいた説教するんじゃなくとりあえず助けて間違ってたらぶん殴るってのがよかったですね。自分のなかで解答得てる感じが。でも誰かを助けることでもっと不幸な奴がいると自分を慰めてたかもって吐露は意外でした、全然そんな風に見えなかったんで。中二にしてはだいぶ自分のこと客観的に見れてますよね。大人〜。

陰キャの妄想丸出しなシャドウナイフも最後に今までの自分は間違ってたと反省しつつ、それ自体を否定することなく成長の糧にするってのが良かったです。Lucidと書いて光と読ませるテキストとか細かい。

f:id:sinodakei:20210716194329p:plain お次は笙悟。達観した兄貴分ぽさをかもしつつバイトでオドオドする様子を見ておそらくは裏っ返しだなとは想像ついたんですけど三十路のヒキニートとはまた直球でしたね。130kmストレートって感じ。

カッコよかったですね単純に。自殺を引き止めるためとはいえ、みっともない自分を認めて声に出して曝け出すってのはそうそう出来るもんじゃない。とにかく現実でも頑張ってもらいたいもんです。でもカギP時代の鍵介に一生やってくれてていいからよとか必死に虚勢張ってカッコつけた台詞言ってたの今思うと笑っちゃいませんか?うぷぷ。

f:id:sinodakei:20210716195855p:plain 琴乃ちゃん……もとい琴乃さんの正体は一番意外でした。ゲーム的な年齢の付け方を踏まえて考えても27くらいかなぁと予想してたらハタチそこそこのひとり親という。まさか子持ちとは思わねーじゃんよ。でも全然気付かなかったけどしっかりと戦闘ボイスで「坊や良い子だねんねしな」って歌ってますし伏線張られてるんですよね。ミレイやウィキッドら女性陣に対してやたら当たりがキツくてめっちゃ啖呵切ってるのが印象的でした。何その処世術。

メインヒロインな装いはフェイクで最初のキャラシナリオで派手に男と遊んでたと告白した時の幻想殺しっぷりがたまらんかった。頼むからそんな簡単にプレイヤーの脳を破壊しようとするな!終始イマジンブレイカーって呼んでました。正直設定が曖昧でこの清楚な見た目は彼女自身がこうありたいと強く願ったからなのか本人も気付かぬ深層心理が働きかけたのか分からないところではありますが、割とサクッと容姿使いこなしてるし前者なのかな?

男主人公で遊んだので女性キャラは皆キャラシナリオの最後に告白っぽい選択肢が出てきましたが流石にこの人のは選べませんでした。子持ちに対してそんな軽々人生背負いますとか言えねーよ。選んだ奴いるんかいって聞きたくなるレベルで重いし。めぞん一刻の五代くんみたいに「たっくんもひっくるめて、琴乃さんをもらいます」とは言えなかったね悪いけど。あの男誰?とは聞きましたが。 f:id:sinodakei:20210716200052p:plain f:id:sinodakei:20210716200209p:plain でも次の周回で意を決して選んでみたら半分説教に近い感じで地味に怒られた。それでも何度も出てくる選択肢をとにかくグイグイ押すと期待通りデレる。案外チョロいぜシンデレラ!

f:id:sinodakei:20210716200418p:plain でもホントに重いのはこの子、神楽鈴奈!

ヤンデレやんけ!琴乃が重いのはあくまで現実的な負担の話であってこっちは愛が重い。告白選択肢を選ぶと帰宅部唯一前向きな思考に至らない依存先が主人公になっただけという驚愕のオチになります。それってアリなんか?まあ普段大人しいけど大声出す胆力あるし読書家で巨乳で乳袋というオタク受けする属性モリモリなんで深く考えずともいいでしょう。 キャラシナリオでみんなで一緒にお弁当食べるの大団円ぽくて凄く好き。日常回めいた安心感がありました。

2周目ちょろっとトラウマクエストを遊んだんですけど、彼女が所属する1年2組はモブも首謀者もコピペとはいえ抜け殻が渦巻く形をしてて明らかに異様。まあ考えてみりゃ便所飯ってトラウマ自体良くも悪くも加害者のいない完全に個人の主観の問題なんでこうなるのも頷けますが。さあ皆さんご唱和下さい。「お弁当を一緒に食べなきゃ」

f:id:sinodakei:20210716194405p:plain 美笛ちゃんも可愛かったですね〜。あえて序盤から二面性を見せつけて本作が他とはちょっと違うと思わせる役どころだけに出番も多かったですし。もう序盤の「し〜ん。」からして可愛い!超健康優良美少女って感じですが、リアルはガリガリで願望を投影した姿と考えると少し寂しくはあります。でもEDムービー見る限りそこまで極端に痩せてるわけでもないって感じですけどどうなんでしょ?個人的には割と一見しただけで病気と分かるレベル&点滴受けてるイメージでしたけどね。

授業参観で母の容姿を馬鹿にされるという分かりやすいクリティカルな原因だけに深く同情しますし、子供の無垢な悪意ほど残酷なものはありません。健康が一番!ってメッセージは未だコロナ収まらない世の中だけに余計に響きました。拒食症というか摂食障害ってTVで取り上げられやすい身近な病気ですもんね。醜形恐怖にしてもそう。 f:id:sinodakei:20210716194555p:plain ただキャラシナリオ後半で飯食ってる時のボイス聞いたらどうしてもハムッ ハフハフ、 ハフッ!!ダディクールを思い出しちゃってそれだけがちょっと。ネットが舞台なだけにどうしてもそっち引っ張られちゃうんすよ。

f:id:sinodakei:20210716194612p:plain 峯沢はイケメン特有の悩みで共感しづらかったなぁ。親の過干渉って意味では今風の悩みではありますが。前提として親は変わらないんだから自分が変わるしかないって考えと今まで孤独に甘えてきたって台詞は良かったね。WIREで漢字変換できないのもアイコンが無いのもスマホすら持たされなかった証明で分かりやすい。

f:id:sinodakei:20210716194656p:plain 鳴子もう〜ん、メガネやメガネキャラは好きですがこういうちんまいのはちょっと。でも凄くいい子なんですよね。裏切った時も一人だけ自分を責めるし。ホントにこんな子が荒らしてたんかって疑いたくなる程ですが人の心根と行動には距離ありますし分からんもんだ。さりげなくファイアウォール突破するチート級の腕前の持ち主。彼女の言葉を見習ってこれから当ブログも細々続けていきましょう。

f:id:sinodakei:20210717082001p:plain 彩声も可愛かったな〜。フワッとした見た目で中身はトゲトゲしたギャップが好き。特に笑顔が可愛くてアイドルスマイルじゃない心からの笑顔全開って感じなのが良かったっすね。でもそんなこと言ってる場合じゃないほど凄惨な過去の持ち主。グロい。エグい。絶対CERO Cじゃねーよ!実際に被害受けたのは友人とはいえそりゃトラウマになりますわ。ホントのホントに守りたい、この笑顔。この世から男を滅ぼす為の雷よ(キリッとか妙にはりきった戦闘ボイスも面白かった。

f:id:sinodakei:20210716200644p:plain 鍵介は愛すべき弟分!女風呂前で待ち構えるわ彩声の胸チラチラ見てるの本人にバレてるわ閉じ込められた時楽士につけばよかったとか本音こぼすわ欲望に忠実だけど肩肘抜いた感じが面白かった。典型的なワナビでレールに乗せられる生き方が〜とかレールに乗る前提で話してるのも青臭くて堪らんです。それはそうとルーマンの魂の叫びに共感した人多分めちゃくちゃ多いと思う。 f:id:sinodakei:20210716195530p:plain 楽士ルートのランドマークタワー編では琵琶坂生存ルートだと死んだ鼓太郎の代わりにコイツが「先輩に何かしたんですか」って真っ先に怒ってくれるんですよね。それがすげぇ印象良かった!まぁお前の目の前にいるし現在進行形で騙してたんですけど。忍びねぇ〜。




とまあ長くなりましたがこんな感じです。

f:id:sinodakei:20210716204011p:plain 帰宅部ってあくまで目的地を一緒にする烏合の衆で例えるなら同じ夜行バスに乗り合わせただけの集団なんですよね。助け合う義理も道理もへったくれもない凄くドライな関係でそれは本人達も自覚してる。そもそも集まった目的がただ家に帰りたいという動物でも持ってる帰巣本能な時点で普通のRPGとはちょっと異なる感じです。一方楽士たちは序盤からメビウスを守るっていう共通の目的があるからどうしても団結せざるを得ない。この相反する仲間意識が対比的で面白かった。まあ帰宅部も口では寄せ集めの集団なんて言ってても照れ隠しみたいなもんで、次第にガッチリ団結するしそれが分かるからこそ感情移入しちゃうんですが。 f:id:sinodakei:20210716195559p:plain とまぁそんな感じで元がドライな集団だっただけに、最後現実を救うためというとってつけたような大義名分を背負わせて正義の味方っぽくなっちゃったのは少々ありきたりだったかも。なんていうのかな、自らの悩みに向き合うって言わば究極のエゴイズムじゃないですか。それをキャラクターシナリオでもシステム的にも深掘りしてるのでそんな逸脱した描き方がウリにも関わらず、むりやり収束させてJRPGっぽい無難なまとめかたしなくてもよかったなって。最後までエゴイズム満載で貫いたほうがカッコよくないすか?よくあるJRPG的な物語の締め方と論じてしまえばそれまでなんですが。

楽士たち

f:id:sinodakei:20210716205350p:plain スイートPは昨今流行りのジェンダー的なご配慮というよりもっと直接的な好きなものは好きでいいって単純なメッセージなのでクドさを感じることなく素直に受け取れました。そもそも俺は男が好きな訳じゃねえって言ってますし。序盤からいい年して性転換したら親ショック死するし、親から貰った顔整形するのは忍びないしってバリバリ現実のこと考えてて悲哀が伝わってきたのめっちゃ面白かった!

係長だけあってなにかと人の面倒みる場面が多くてお節介なのが普通にいい人なんだろうなっていう。やってること自体は暴飲暴食によるストレス解消、美笛と同じ摂食障害になるのだけは気をつけてほしい。脂質糖質塩分には要注意。

f:id:sinodakei:20210716205419p:plain storkは覗きって段階で窃視症やろな〜ってトラウマはすぐ予想付いたんですが特筆すべきはそのコメディリリーフっぷり!良かった!キャラが立ってた!面白かった!愛すべき変態でした!

自らの倒錯した性的嗜好が湧き立つ使命感の障害となって罪悪感に苛まれるってトラウマ設定も結構面白かった。やっぱり良識人が多いですね楽士の皆さんは。仮面外したらイケメンの香りがする。

f:id:sinodakei:20210716205735p:plain f:id:sinodakei:20210717092208j:plain 少年ドールとミレイもよかったです。ちょっとでも上手くいかないとへこたれてわ〜〜〜 ってなるドールの幼さとか、ミレイの傍若無人な振る舞いとか。でもドールはともかくミレイは解決した感じしねぇよなあ。だってアレ歳三との絆じゃん。

てかミレイの声さすがに老けすぎじゃないか?まだ20代ぞ!春香をワントーン落としたくらいの演技指導でよかったんじゃないかな〜。

f:id:sinodakei:20210716205527p:plain 梔子は可哀想。ホント可哀想。苦境から脱却しようとしてる人に対してそう述べるのは失礼だと分かっていてもそう思う。普通にいい子だったんだろうなっていうか、メビウスに堕ちた今でも普通にいい子ですからね〜。

でもlucidとの関わりのなかで大切なものは新たに築けると気付いた&琵琶坂死んだとしても結局ラスダンで現実に絶望して襲いかかってくるのは残念でした。なんでそこで手を抜くかな。差分くらい作ろうぜ。

f:id:sinodakei:20210716205859p:plain イケP最高!相棒呼びしてくる敵キャラとか敵キャラじゃないよ!ブサメンというだけで闇落ちした哀れな男の割に敵にも味方にも親切な兄貴分でしたね。普通の一般人なんで殺しは御法度、これから戦う帰宅部にまでうまくやれよって気をつかう親切ぶりでした。

楽士たちってメビウスに留まり続けることは緩やかな自殺だって最初から分かってたじゃないですか。これだけ常識人な彼らのことだし。だから自らの選択が真綿で首を絞める逃げでしかないことにも気付いてた訳でしょ。それ自覚してんのに見て見ぬフリしてメビウスに留まることを選択したってのは人間らしくてよかったですね。人間どんなに頑張ってもへこたれてしまう時や惰性に流されることありますから。

f:id:sinodakei:20210718040357p:plain ウィキッドちゃんすげえ小物臭がするんだけど何とかならんかったんかよー。目がハートの逝かれボマーって意味じゃビンビン性癖に刺さる子だったんですけどキャラシナリオでやってることが女子中学生のイジメかってくらいショボい。ルシードの正体を知るのはソーンとμだけとはいえ、同じ楽士である主人公を殺し損ねたり鳴子逃すアリアに気付かないドジっ子ちゃんでもありました。

どうやら外伝小説の主人公らしく読むと印象が変わるとか。カリギュラ2にもガッツリ関わってるらしいけどあんまり読む気はしないなーどうしよっかなー。

f:id:sinodakei:20210716225602p:plain ソーンネカマやんけ!割と年季の入ったネカマでしたね。事件の発端を聞いた時どことなく笙悟一凛棗の野暮ったい三角関係に巻き込まれた感あってちょいグダリました。それもそのはずプレイヤーは棗が精巧にモノマネする一凛しか知らず素の棗も一凛も見えないからすごいフワフワしてて感情移入しづらいんですよね。あくまで笙悟棗の主観的な情報でしか入ってこないので何か客観的なソースがあればなぁ。自殺の新聞記事見つけてそこから探ってく展開とか。

事件の真相が痴情のもつれってのは人間こんなもんだろと納得できるレベルですが、その当事者二人が舞台装置以上の役割を果たしてないのがちょっと微妙。もっと食い込んだ何かが欲しかった。まあ不思議ちゃんなソーン可愛かったですけどね。




f:id:sinodakei:20210717122253j:plain 基本的に帰宅部がモラトリアムぽい青春らしい悩みを多く抱えて伸び盛りだけど不安定さが見えるのに対して、楽士は年齢層高めなこともあってか自立した常識人が多かったですね。もちろんどちらが上とか下とか言う話ではないのですが真っ当さでいえば楽士のが上というか周囲に気を配れるぶん大人に見えました。実際に大人ですけど。

結局彼ら楽士も普通の人間なので現実に帰ることを望むって展開はまぁ仕方ないのかなー。帰宅部楽士は最初二項対立っぽく見えたから普通にバチバチ最後までやり合う展開を期待してたんだけどいつのまにか揃って同じ方向を向いてて、後半になるとソーンに付き合わされてる感出てたのがなー。でも楽士帰宅部両方で現実と向き合う大切さを描いたと考えれば妥当というか、まぁこんなもんですかね。

裏切りエンド



f:id:sinodakei:20210716202004p:plain で、皆さんEDどうでした?裏切りEDのほう。



快感でした。

憤怒・失望・拒絶・落胆・軽蔑・後悔・内罰・自嘲・慚愧・憎悪。

様々な感情に身を焼かれながら思い付く限りの罵詈雑言を浴びせてくるかつての仲間たち!それを容易く捻じ伏せるのがなんとも爽快で。気持ちえぇわ〜。裏切りっていうから葛藤とか罪悪感とか良心の呵責とか覚えるのかと思ったら全然そんなことは無かったぜ!というかむしろ感じていたからこそあの快感だったのかもしれない。

まあクリアしたあとこの感情は物心つかぬ幼いころ何の躊躇もなく虫を殺してた時と似たような幼稚な嗜虐心かもしれないと気付いた時は俺成長してねえなあと感じましたが、結局のところ無個性主人公を由来とする裏切りの理由に必然性が無いのは事実で。仲間といくら交流してもほだされることのなかったプレイヤー自身の現実に対する恨みとも単なる気まぐれとも解釈できる訳です。まあそれ自体は無口主人公なんだもんしゃーねーべとは思います選択肢があったら押すのはプレイヤーの義務なのでそこまで深く考える必要もないのですが。

そもそも先にオリジナル版をプレイ済で帰宅部に感情移入して楽土ルートを遊ぶのと何も知らずに遊ぶのでは受け取り方が違うでしょうしね〜。俺は後者でしたけど。

f:id:sinodakei:20210716201913p:plain それはともかく!実際悪辣な憎悪をこれでもかと投げかけてくる帰宅部良かったですよね。あくまで受け身感の強かったキャラクターシナリオと比較しても本気の対話って感じで。思い返せば各キャラクターの心に踏み込むか否かのあの演出は個人的にカリギュラ効果って感じあんまりしませんでした。別に「絶対聞くなよ」とか「聞いたら後悔するぞ」とか事前に釘を刺される訳でもないし、個人の日記やスマホを盗み見てあらぬ秘密を知る背徳に濡れた感じもない。聞き上手な主人公が円滑なコミュニケーションした結果心の扉を開けてくれたって感じでした。

それだけに今回の裏切りはカリギュラ効果マシマシで『マジでやっちゃいけないことしちゃった感』にあふれてて良かった。本気で悪態ついてくるってことはそれまで本気で接してくれてた裏返しですからね。愛を感じました愛を。彩声が女言葉やめてぶっきらぼうになるの凄い好き。帰宅部全員の迸る憎悪慈愛と慈しみの心を持って包み込んで上げようっていう安いサイコパスみたいなロールプレイできたのが最高でした!

ただここは全員3Dモデルオンリーより立ち絵表示した方が俄然迫力あってよかったよね。惜しい。そこまでして貧弱な3D使いたがる理由分からないんだよなぁ。

f:id:sinodakei:20210716202024p:plain 帰宅部全員倒したあとのアリアの吐き捨てるような台詞よかった。頼みの綱だった全員がやられちゃって負け惜しみに近い悪態を付くことしかできない姿が哀れヒョーッヒョッヒョッヒョって変な笑い方したくなるくらい面白かった。まあ俺も大部分は選択肢があったから押しただけで深い意味は無いんだゴメンよ〜って謝りながら見てましたが。恨むなら開発者を恨め開発者を。

f:id:sinodakei:20210713200637p:plain ただこの鈴奈ちゃんの台詞は少々分かりづらかったというか、裏切られてボロ切れのようになりながらも主人公を信じる不憫さより『もしかしてここから更に裏切るトリプルスパイ的な展開あるんじゃねーの?』と見当違いの期待をしてしまいました。元々立場が立場なだけに更に二転三転しそうじゃないですか。ねぇ。

で、結局そのままアリア倒してバッドエンドとして終了。オマケ的な描き方ですが面白かった。

結論として展開は雑だが描写は見応えがあったって感想です。

欲を言えば序盤から完全に帰宅部と袂を分かち完全な別ルート作ったほうがそりゃあ見応えあったでしょうが、それだともう一本ゲーム作るくらい大変だろうし色々折衷案の上での雑さなんでしゃーないかな。

他にもいろいろ

f:id:sinodakei:20210717145831j:plain トラウマクエストは2周目にちょっと首謀者3人解決するくらい遊んだんですけど好みじゃないかな〜。システムの煩雑さはさることながら中身がめちゃくちゃドロドロ!金田一に出てくる不動高校より死人出てるんじゃねーの!?こういう露悪的で悪趣味なのってどうしても悪ふざけ感を覚えてしまってのめり込めない派です。脅しが癖の男を解決しようとしたら詐欺師と組んで余計酷いことになるし、近親相姦を犯すかもと怯える男には他の女あてがえば解決とか根本的解決に至らないのがアレだよね。まあこういうドロドロが好きな人は好きなんでしょうけど。

ラスダンで楽士たちと戦うときにかかるリミックス良かったっすね〜。普段のダンジョン攻略の時からこっちも聞きたかった。というかクリア後はいつでも自由に曲選択くらいできても罰は当たらないよな。良曲多いだけに自由に聞きたいジャン。 エンドロールではアッパーな主題歌『Cradle』がかかりますがこういうの好き。ひとつの物語終わったーって分かりやすくて。アニメウマ娘の最終話で流れるうまぴょい伝説もスポ根本編と黒地白抜きエンドロールの重々しさに賑やかなお祭り感が合体してえもいわれぬカタルシスあって良かった。こういうの好き。

まとめ

なんか今ふと思ったんですけど。

一見すると帰宅部vs楽士という分かりやすい現実vs虚構の構図ですがそれはあくまで現実に帰る通常EDの話であって。実は裏切りEDではプレイヤーvs帰宅部という形で現実vs虚構の構図を成立させてるのが面白いな、と。いや別に面白いと感じただけで深い意味はないんですが一応ね。

クリア後にPS4版初回特典のブックレット引っ張り出して読んでみたんですが、本作のテーマは現代病理の他に偶像殺しだとか。へぇ〜〜〜。いや、あんまり気付かなかったもんで。他人の取り繕った建前剥がした先に人間としての本性があるってイメージを壊す意味での偶像殺しはなるほどなって分かりますけど、μやアリアと神性を同一視した偶像殺しは気付きませんでした。だって元々殺すことを目的としてるならともかく、結果的にそうなったって感じの強いシナリオでしたからね。気付かないのもやむなしというか。そもそもμって最初から視野狭窄で軽く話通じないところあるんで言うほど思い入れないんだよねっていう。





はい、いいかげん長くなったんでもう終わりにします。でも最後にひとつだけ。クリア後本作であるカリギュラオーバードーズについてぼちぼち諸々調べてたらグーグル検索結果の段階でチラッとカリギュラ2のネタバレ軽く見えちゃったんですよ!ヒエ〜〜〜ッ!!

なんで1のこと調べてたら検索してない2の中身が表示されんねん!!!これはもう完全にクリア後の開放感に浮かれてた自分の不注意が原因とはいえマジでやってしまいました。ネタバレの真偽を確かめるべく早々に遊ぶ手もなくは無いとはいえ、モチベダダ下がりになってしまったのでこりゃ続編遊ばないかもなぁ。まぁ買うかどうかはとりあえず気が落ち着いてから考えますか。

f:id:sinodakei:20210718021359p:plain 以上、読んで頂きありがとうございました。

*1:個人的にCC2といえばジョジョASBよりもコレ。ps4リマスターもあるでよ。でも途中で積んでる。